ヒア・カムズ・ザ・サンをオススメして下さった方から借りて読むことがてきました。


始まりは、主人公が学生の時に読んでいた「フェアリーゲーム」というライトノベルの事をネットで検索する所から始まります。

このフェアリーゲームという小説が引き合せる2人の恋愛小説となっているのですが、本編と2人の読んでいた小説での心情が、リンクされて書かれている事に気づいた時には2人の運命も小説の様になるのか、また、新しい2人の未来を見つけることが出来るのか……そんな風にドキドキしながら読むことが出来ました。


読みながら思っていた事は、ヒロインの心情が理解できる部分があること、同時に主人公の心情も理解できること、この2点が私の中で、何とも言えないもどかしさと葛藤を生み出しました。
私の性格はヒロインに近いのだと思います。もしかしたら、私が近いのではなく女性の考え方がヒロインへ投影されているのかもしれません。


自分がネガティブな感情を抱いてしまうと、それを気遣うことのできない相手へ途方もない苛立ちを覚えてしまうのは、この人なら理解してくれるという期待と自分がその人へ心を許している分の甘えだと思うのです。
自分のことをここまで話したのだから理解してよ、気づいてよ、分からない知らないだなんて言わないで。そういった感情の様に感じるのですが、ヒロインである、ひとみの心情はどうだったのでしょうね。


こういうことって意外と人に言われて初めて気づいたりします。それに付属した嫉妬という気持ちも。

私は健常者です。
故に、彼と同じく彼女が何度もかけられてきたであろう言葉でしか励ます事はできないし、その内を知ることはできません。あくまで想像の世界であって私たちからすれば現実ではない世界を、彼女は現実として泣いて笑って生きている。



この小説を読むことで見落としていた小さなことを思い出しました。

例えば、小さい頃にとばしたシャボン玉
例えば、汗が流れでる様に暑い夏の日に飲むラムネ
例えば、初めてすきな人ができた時
例えば、男の子と手をつないだ時
例えば、美味しいごはんをお腹いっぱい食べた日

そんな日々を、幸せだと忘れてはいけない忘れて良い訳がない。
物であったり、人であったり、感情であったり、言葉であったり、何にだって変えられない。



いろんな事を考えれる素敵なお話でした。
またいつか、あなたを手に取って読みふける日が訪れるまでサヨナラ。









素敵な作品をありがとうございます。
レインツリーの国/有川浩

しの つばさ