綿矢りささんの作品を手に取るのはこちらで3作品目です。
1作品目はデビュー作である「インストール」、2作品目は「蹴りたい背中」、そして今作品なのですが、はじめて読んだときは、とても衝撃的で今でもワンシーンを覚えているくらいです。
勝手にふるえてろ (文春文庫)
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主人公ヨシカの妄想がはじめは二股している女の子の話かと思いきや、読み進めていくうちにどんどん現実とリンクしはじめていき、その一部が妄想だと分かるのです。
26歳のOLヨシカは学生の頃に恋をしていたイチにずっと想いを寄せていて、その気持ちは変わらず、むしろどんどん美化されていき運命の人だと思っている恋に恋する女の子…私の中のヨシカの印象はこうでした。
そんな恋してるヨシカの前にコンソメの匂いがするニが現れます。
ニはヨシカへ好意を寄せていてずっとアポローチを続けますが当のヨシカはイチへ夢中でニの事はなんとも思っていません。
せいぜい、自分なんかへ想いを寄せてくれる変わった人、コンソメの匂いがする、私の話には興味を示さない一人で勝手におしゃべりをする人。それくらいの印象です。
実際に結婚を考えるなら一番すきな人とが良い。そんな事は当たり前で、でも一番すきな人と結婚したら嫌われるのではないか?こんな事を言ってはいけないのではないのか、他に好きな人ができてしまうのではないか…そんな不安が常に付き纏いますが、二番目にすきな人となら、嫌われてもある程度は平気だし友人のような気の使い方で大丈夫な様に感じるでしょう。
これって正に女性目線(男性も同じかもしれませんが…)そんな女の我儘な私を優しく許してほしいという願望や、裏切り、悔しさが混じりに混じった爽快感もあるドロっとしたお話。
過去の事をきれいな思い出にして大事にしまっておくのは、とても大切な事で、忘れられないのだから忘れなければいい。そのまま大事にしていればいい。けれど、決着はつけなければいけない。それは現在を生きていくのにとても大切なことであると思うのです。
過去の中に生きているのではなく、現在を生きているのだ。
イチも二もヨシカも。
そして私たちも。
勝手にふるえてろ / 綿矢りさ
素敵な作品をありがとうございます。
しの つばさ