宮下奈緒先生の小説はずっと気になっていてわりに、手を出さずにいたのですが今回は即決で購入を決めました。


 

 

窓の向こうのガーシュウィン

額装家のお家へ、ヘルパーさんとして行くことになる主人公は常に自分はなにか欠如していると思いこみ、なんとなくで生きている。きっと明日も明後日もなんとなくの日常を、こんなもんかと生きている。


そんな彼女が、想い出を額に納める額装家という職人に出会い「なんとなく生きる」をやめるお話でした。ざっくりですが…。


読みすすめていく中で分かったことは欠如しているという「劣等感」を背負っている彼女に私は自分を重ねて読んでいて、痛いほどに気持ちが分かることが多くありました。

例えばよくある、あの時自分がああしていれば結果は変わったのではないだろうか?自分がこうだからあの人に迷惑をかけているのではないだろうか?なんて、不条理なことも悲しいことも、自分ではどうしようも無かったことを自分のせいにして責めてる姿なんかは昔の私のようで、当時の自分はきっと、人からこういう風に見えていたんだろうな…。なんて考えていました。


物語がすすみ、彼女は自分を見つめていき形を得ます。その時に言っていた「悲しいことも嬉しいことも全部、私が引き受ける」って言葉に動かされました。やっと彼女は自分を見つけたんだって!


読んでいて私も私を見つめましたが、私はまだ迷子のまま。私は私を人の前にさらけ出すことに臆病になってから、もどってこないまま。




勝手に耐え忍んで、勝手に不満を抱いて、勝手に泣いている。お子さまです。












しの つばさ