わかっているんだよ

どうしたって叶わない願いなんだって

わかっているんだよ

ほんとは無理なお願いなんだって

落ち着かない気持ちをひきずってキッチンへいく

ミルクとココアの粉に少しのお砂糖

スプーンでぐるぐるぐるぐる

まぜている間に考えるのは昨日のぼくら

さよならも言わずにでてった君と

引き止めることができなかったぼく

ぐるぐるぐるぐる

立ちのぼる湯気にあまいココアの香がする

思い出すのは君の笑顔だった

ひとくち飲むと思い出すんだ

君が教えてくれたこと

不器用なぼくにお箸の持ち方を教えてくれた

春がきらいだったのに

君が好きだと言うからいつの間にか好きになっていた

あまい玉子焼き

ぼくは未だに好きになれない

おいしいココアの淹れ方

ぼくはうまく作れただろうか

聞きたくても君は居ない

ここには居ない

 

わかっているんだよ

こんなぼくだから君に嫌われてしまっても仕方ない

ほんとはそんなこじつけた理由で

君を諦めたくない

神様お願いです

スタートの遅れてしまったぼくだけど

どうかあの子の事を諦めさせないで

ぼくらの今までをこれで終わりにしないで

 





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しの つばさ