ずっと俺が…
───を守るよ…
いつの頃の約束か
誰と交わしたのかさえ
覚えていないけれど
自分の中に
深く眠る記憶
誰かがいつも傍にいた
俺たちは二人でひとつなんだと
そう思える存在がいた筈なのに…
クローバーの生い茂る広場を
楽しそうに駆け回っている
その人の笑顔が思い出せない
分かっているのは
ただひとつ
俺は『誰か』を失ったんだ───
ピピピピピピ……
携帯のアラーム音で目を覚ますと
自分の頬が濡れているのに気付いた
──久し振りに見たな…
昔から繰り返し
何度も見る夢
名前も顔も知らない『誰か』
なのに何で懐かしさに
涙が溢れるのだろう…
夢はひどく断片的で曖昧だけど
あれはきっと俺の
失った記憶なんだと思う
俺には幼い頃の記憶が
ほとんど…無い…
ベッドから起き上がり
カーテンを開けて
朝の日差しを部屋に入れる
いつもはゴチャゴチャと
物が散乱している部屋だが
今は片付いて
少しガランとしている
この部屋とも
暫くお別れだな…
小さなトランクひとつを引き連れて
馴染んだ部屋を後にする
この春に大学を卒業し
父と同じ会社に就職した
ここ…ロスにある本社での研修を終えると
日本の支社に赴任を命じられたが
俺が日本に行く事に
父さんは最後まで反対をしていた…
「 おはよう、奏翔… 」
リビングのソファーでは
もうとっくに出勤していると思っていた父が
コーヒーを片手に、新聞に目を通していた
「あれ?父さん、会社は? 」
「あぁ…休んだ…
やっぱり息子が旅立つのに
見送りしないのもな…
空港まで送るよ…… 」
もう、そんな子供じゃないんだから…
見送りが無いくらいで拗ねないよって
苦笑を浮かべたけれど
それでも自分の事を
気にかけてくれるのは嬉しい
血の繋がりの無い
息子なのに…
俺の両親は幼い頃に
事故で亡くなった
車での事故
俺もその車に乗っていて
自分だけが助かったそうだが
俺は事故の事も
両親の顔さえも覚えていない
記憶はその時のショックで
失ったらしい──
「おまえがこの家を
出て行く時が来るなんてな…
本当に…大きくなって…… 」
「…父さんには、感謝しているよ… 」
身寄りのない俺を
引き取ってくれた父さん
母とは血も戸籍も繋がっていないが
兄弟同様に育ったと言っていた
父さんは俺の両親について
あまり話さないし
俺も父さんに悪い気がして
両親の事は深く尋ねなかった
写真すらも見た事はなく
両親の顔も分からないけど
父さん曰く、俺の顔は
父親の面影が強いらしい
「あ、智くんはどうしても
出なきゃいけない会議があるからって…
本当は見送りたかったみたいだけど… 」
「だからいいって…智さんとはこの間
散々、飲み明かしたから…
それに智さん、社長なんだからさ…
会議に出ないで、どうすんだっつーの! 」
智さんは、俺と父さんが働く会社の社長で
父さんの恋人だ
それに関しては
何とも思っていない
ここでは同性のカップルなんて
珍しくもないし
物心が付く頃から
智さんは普通にいたんだから…
高級住宅街に、智さんの自宅はあるけど
この家には智さんの部屋もあって
週のほとんどを、ここで過ごす
もう半ば一緒に
暮らしているようなもんだよな…
幸せそうな二人を見て育ち
愛にはいろいろなカタチがある事を知った
流石に母さんとは呼べないが
俺にとっては家族も同様
もう一人の父さんだ
智さんも俺の事を
自分の子供のように思っていてくれて
「俺に子供はいないし
これから先も、作る気は無い
潤との子供なら欲しいけど
俺も潤も産めないしな…
だからな、奏翔…
おまえが俺の跡を継げ!! 」
冗談ではなく、かなり本気みたいで
父さんに俺との養子縁組の話を
持ちかけている…
日本支社に赴任させられるのも
智さんの鶴の一声
「可愛い子には
旅をさせろって言うからな…
日本で存分に揉まれて
大きくなって帰って来い! 」
そんな理由だった…
✿。.゚+:✿。.゚+:✿。.゚+:✿。.゚+:✿。.゚+:✿。.゚
お葉翔ございます
ラブド次世代編です♡
書きたいと思ってから
幾星霜… ←大袈裟
やっと書き始めるコトが
出来ました( ̄▽ ̄;)
あの満月の夜から
20日後を飛ばして
約22年後のお話になります(笑)
翔さんと雅紀のお話ではなく
すみません(=ω=;)
奏翔は『かなと』と読みます♡
奏翔の記憶に眠る
『誰か』とは──
両親は誰なのか
本当に事故で亡くなったのか…
今は何も語れません(・ω・)ノ ←オイ!
まぁそんな大層な
お話じゃございませんが(笑)
話が進むにつれて
明らかになっていきますので
気長に読んでやって下さい(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”
奏翔の育ての親は
潤くんです♡
潤くんと智さんのお話は以前
番外編で書いていますので
宜しければ…
昨日は潤さまの
入所記念日でしたね♡
おめでとうございます(๑´ω`ノノ゙✧ ←遅い!
昨日更新出来ていれば
タイミングが良かったのにな…
↑番外編は潤さまのお誕生日に書いたから
書き始めたものの
話を進められるのか
内容を受け入れて頂けるかなど
いろいろと不安はございますが
お付き合い頂ければ嬉しいです♡
これからも
宜しくお願い致します( ´ ▽ ` )ノ