おじちゃんの四十九日が終わった。



和子(のん母)ものんも元気にしてるかな。
会いたいな。



あっという間に2月も終わろうとしている。
月日が経つのは恐ろしい程に早い。



不思議なもんでのんに会えるまでの時間はのんびり過ぎているようで急かしたくなる時がある。



かと言って、たいしたことをする訳ではない( ˙-˙ )



のんは中庭で本を読む。
あたしは部屋の中で韓国ドラマを観るのかな。


あ、そうだ…
絶対嫌だと言うであろうスケボーをさせてみよう。


10000%無理というから。
怖いから絶対せんというから。
する必要がない。
挑戦しません。
無意味。
色々言うだろうから、無理矢理させてみよう。


そうしよう。


あたし達は学生の頃から同じ空間にいて、いつも別々のことをやっていた。

いつものんはあたしのそこら辺にいた。

だからあたしもいつものんのそこら辺にいた。

特段仲良しって訳でもなく。

全く趣味も合わず、たいして気も合わない。

けんかも良くした。

だけど美しいとか、心地いいとか、そんな心が何かを感じるタイミングが似ていた。



だからそこら辺にのんがいなきゃいけなかった。



それをのんはよくわがままと言った。




コロナ禍で緊急事態宣言が出た。
また会えそうで会えなくなった。




2月18日、熊本県独自の緊急事態宣言が解除された。





「もうそろそろ会いたいんですけど」





『そだね』





のんが久しぶりに来ることになった。





今回は数ヶ月ぶりだから…
何かしたいな。






でもこんな状況だしね……








あ、そうだ。








『お昼ご飯とかだけでもいける?』


「うん、大丈夫」


『なら2名予約』


「わかった、女将に言っとくね」






よし、決まり。






ここは森の中にひっそりと佇む宿『山河』


ここで、教え子のりさが働いている。

この子は剣道部ではない。

だけどいつもあたしの周りをちょろちょろしていて可愛らしい生徒だった。


りさも二十歳になり、今年成人を迎えた。


りさは私の母に着付けを頼んでいた。
しかし、コロナ禍で成人式がなくなってしまった。


ほとんどのお客様がキャンセルをしていく中、りさは『着付けをお願いします』と私の母に言ったそうだ。



それはそれは母が喜んでいた。



成人の日。




稽古をしていたら体育館にりさが現れた。





『ゆき先生に見せに来た』




「わぁ綺麗…」
「わざわざ見せに来てくれたの?偉いねぇ!」
「式がなくなって残念やったねぇ…」



『うん、でもせっかくだからおじいちゃんとおばあちゃんに見せに行こうと思って』



「いい子やねぇ偉いねぇ」



『あと、女将さんにも見せてこよっかなと思って』




「わぁ、それは喜ばす!あんたは偉か!」




なんかハッとさせられた。

あたしが二十歳の頃。
こんな状況だったら…

何故かハッとする。







あの日、りさの晴れ姿がふっと頭に浮かんだ。



人と人とのご縁。
タイミング、巡り合わせって。

不思議。

きっとこういうことなんだなって…
そう思った。


















『なんか、久しぶりに旅行に来た気分』


「たまにはこういうのもいいね」


色々大変だったね、のん。

何も力にはなれないけど。
少しだけ、ゆっくりして帰ろ。



『おばあちゃんになったら一緒に住んでね』
「あんた婆ちゃんになっても強そうだから嫌!!」


『ダメよ』


「嫌よ」


『住む』


「いや」


( ˙-˙ )チッ




あ、みゆきさん。

嫌がらせのように写真送り付けてごめんね。

あれは、ただの自慢です。
悪意はないようであった気もします( ˙-˙ )❤

次は三人で、またね。










楽しい時間はあっという間。

りさ、素敵な場所にあたし達を連れてきてくれてありがとう。






『寂しかろ』


「うーん、寂しいかなー。少し。」


『泣くなよ』


「泣かんし」


『泣け』


「泣かんし」