こんにちは、備え・防災アドバイザーの高荷です。

死ななければそれで良いというものではない。
備え・防災には行うべきことがたくさんありますが、最も優先順位が高いのは「死なない環境を作る」ことです。死んでしまった後に役立つのは生命保険だけ、とにかく死なないための準備を行い、それからはじめて他のことを考えます。

とはいえ、「死ななければそれで良い」というものではありません。それまで健康だった方が災害にあい、半死半生の状態から奇跡の生還を遂げたとして、重大な健康被害を受けてしまってはその後の人生に支障をもたらします。

生命は無事だったとしても財産をすべて失ってしまえば、その後の生活再建は容易なことではありません。災害の規模が大きければ大きいほど、社会全体が受けているダメージも大きいですので、ますます生活再建は困難を極めます。

備え・防災の基本は「死なない環境作り」でありますが、この「死なない」という状況もいくつかに細分化できて、そして優先順位がつけられるのではないでしょうか。

死なない環境作り
最も重要なのは、もちろん文字通り「死なない」コトです。腕を失おうと、視力を失おうと、まずは生き延びることが大切であり、そのための準備が最優先されることは疑いようがありません。

人間は、外部から生命の維持に必要な物質を取り入れて、それを体内でエネルギーに変換し、循環させることで生命活動を維持しています。外部供給カットされるか、体内でのエネルギー生成及びその循環ができなくなると死に至りますので、これらを引き起こす要素を一つずつ洗い出し、つぶしていくことが行うべき対策です。

地震対策で言えば、自宅の耐震補強、家具の固定、ガラスの飛散防止などがこの対策に当たります。


健康の維持
次に重要なのは、健康を維持することです。災害でけがをしない、災害で病気にならない、災害で心を病まない、そうした準備が必要です。命を長らえたとしても、健康被害が重大であれば生活再建や、その後の人生に影響を与えますから、そのための備えを行います。

地震対策で言えば、各部屋に懐中電灯を用意する、枕元に非常持ち出し袋と靴を用意する、水や食料を用意する、などがこの対策に当たります。


財産と文化的な生活の維持
最後は、文化的な生活を維持することです。日本の場合、お金さえあれば文化的な生活を送ることが出来ますから、まずは住宅や財産を失わない対策を行い、次に生活再建に向けた資金調達の準備をしておくことが必要となります。

お金で買えないもの、思い出の品や写真などを守ることもこれに該当しますし、地域コミュニティの維持、ご近所さんがみんな平和で幸せであること、なども文化的な生活の要素であるとも考えられます。

地震対策で言えば、貴重品をまとめておいたり、地震保険に加入したり、アナログデータのデジタル化と複数バックアップを行っておく。また地域の防災力を高めるために防災訓練を行う、というのがこの対策に当たります。


健康で文化的な最低限度の生活 
ここは日本であり、日本人ならばだれでも「健康で文化的な最低限度の生活」を行うことが保証されています。であればこそ、これを維持することが備え・防災の目的であると考えます。

「死ななかった」としても、健康や文化的な最低限度の生活を失ってしまえば、それは備え・防災としては不十分です。ですから、タンスを突っ張り棒で固定して、防災グッズをリュックサックに詰め込めばそれで防災はおしまいになりません。

物理的に死なない環境を作ること、被災後の生活再建を早める準備をしておくこと、災害に備えたお金の準備をしておくこと、この災害大国日本においては、ここまで行うことが必要であり、そしてライフスタイルとして自然に行える状態にしておくべきです。


以上