こんにちは、備え・防災アドバイザーの高荷です。

「防災」と言われて何を思い浮かべるでしょうか。実に様々な災害が存在する災害大国日本、地域やライフスタイルによって遭遇する災厄の種類も多岐にわたります。

それでも多くの方は、防災と言えばまず地震対策を想像すると思います。地震対策でまず行うべきことは「死なない環境作り」であり、耐震補強や家具の固定、二次災害地域においては緊急避難への備えなどが真っ先にする「防災」であると言えます。

が、私たち生活者にとっては、「不合理な死、理不尽に失われる財産」をもたらす要因は、すべて等しく「災害」であると考えるべきです。年をとって天寿を全うする以外の死に方、自らが行う遺産相続以外の財産の失い方は、出来ればさけて一生を終えたいものではありませんか。


戦後日本において最大の死因は「ガン」です。そういう意味では、ガンを予防する努力が、最大の防災であると言えます。が、ガンが死因のトップを占めるようになるのはおおむね40代以降であり、10代~30代辺りにおいて最大の死因は「自殺」です。

となれば、若年層においては「自殺」を防ぐための努力が最大の防災であるとも言えます。一方、10代以下の子供においては、「不慮の事故」が最大の死因となります。

幼児は「窒息事故」、学童は「交通事故」が大半を占めますので、家庭内の危険を取り去ること、交通ルールを教え込むこと、これが子供にとって最大の「防災」です。

つまり、小さな子供から目を離さないようにして、赤信号を守らせ、精神安定に努めながら、規則正しい生活を送ること。

「不合理な死、理不尽に失われる財産」をさけるのであれば 、耐震補強や食料備蓄を行うよりも、
こうした生活が最大の「防災」であるのです。


と、まるで防災アドバイザーである自己否定にもなりかねない発言ですが、たとえば直近50年で、交通事故で亡くなった方は20~30万人に上るでしょうが、地震で亡くなった方は3~4万人にとどまります(※死者を愚弄する発言ではございません)。

また、がん保険の適応を受けたことがある方と、地震保険の適応を受けたことがある方、おそらく前者の方が圧倒的に多いはずです。


地震対策をするな、ということではありません。しかし、健康診断で肥満と診断をされていたり、普段信号を守らないことがあるような場合、そちらに気を配った方が、まず身近な死因を減らすことには貢献しますし、人生に対する備えという意味では、このような生活を考えることが有効です。

ただ、地震をはじめとする自然災害や、原発事故をはじめとする人災、確かに発生頻度は低いものの、第三者から強制的に与えられるという性質を考えると、やはり何も備えていないのは気持ちが良いモノではありません。

※また私たち生活者にとっては、身近な災厄から逃れることが防災ですが、企業、行政、国家、そうした視点で考えれば全く異なる回答がでてくるというのも事実です(1万人が交通事故で死のうが国としては個人に問題へと転嫁できるが、1万人が住む町が津波にのまれると大きな責任問題となるということです)。

すると、私たちにとっての「防災」というのは、むしろ精神衛生上必要な儀式なので無いかと言うことも考えられます。実質的な防災である生活習慣の見直し、そして精神的な防災である地震対策、いっそこのように考えてしまうことも出来るのではないでしょうか。


結論がないのですが、防災=「地震対策」、防災=「自然災害に備えること」と決めつけず、防災=

「不合理な死を避け、理不尽に失われる財産を守ること」と考えて、身近な災厄からの備えを行うべきではないか。というのが、本日伝えたかったことです。 


以上