ようやく野村萬斎さんプロデュースの舞台が終わりました。
来てくださった方ありがとうございました。
こんなにおもしろい舞台は他にないだろうというくらい、
おもしろいものに仕上がって関係者も驚いていました。
狂言と書を佐々木正人さんという生態心理学者が解体していきます。
アフォーダンス(afordの造語)という専門用語を軸に、
3人で対談をし、僕が書を書き、萬斎さんが舞いました。
書の基本について、「永」や5書体を書きながら説明しながら、
様々なことにせまりました。
目隠しをしたり、口で筆をくわえて「永」を書いたりもしました。
目や手を使わないことで、
他にどんな体(體)の機能、感覚が使われているかを探ります。
狂言と書を解体していくと同じところへ行き着きます。
「感覚」と「身体」
人間はただ、筆で紙に書くという作業だけで、
膨大な知覚、視覚や、筋肉、関節を使っています。
あの柔らかい筆で、線を組み合わせていく作業は、
とてつもなく複雑な処理を元に進められていきます。
関節だけ見ても、
指、手首、ひじ、肩、腰
がお互い干渉しあいながら曲がって筆を動かしています。
人間は、地球に生命が誕生してから、
幾多の困難な環境を乗り越えて進化してきた生命体です。
想像を超えた複雑な機能が、
日々のふとした行動に使われています。
例えば「コップをつかむ」という作業も
ロボットにさせようとすると、膨大なプログラムが必要になってきます。
素材、重さや形、つかみかた、
もっというなら、空気抵抗なども考慮して、
「つかむ」という行為をしなければなりません。
私たち人間は、意識せず、簡単に様々な形のコップをつかむことができます。
2本足でロボットを歩かせるというだけで、すごい苦労をしているのですから。
最後は、萬斎さんとのコラボ。
萬斎さんの舞と唄の中で、即興で多字数書を書く。
世田谷パブリックシアター立ち見もたくさんの満席状態で
シーンとした中で2人きりでやるコラボは、
時代を超えた何かを感じました。
できあがった作品も今までにない作品で自分で驚きました。
今回の舞台を通してあらためて、
人間の感覚、身体のすごさに感動しました。
ただ書を書くという作業も、
アフォーダンスの視点で見ると、
とてもロマンチックに見えてきます。
人間は、すごい。
みんな、すごい。