PENTASTONES 終章 ⑵ | lavaの創作ストーリー用ブログ

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lavaの創作ストーリー『LAVARATORY』を小説化したものを載せています。
厨二病なバトル小説書いています。

「…どうやら、誰一人死ぬ事はなく…全員無事なようだ。…なんでも、二次白軍の新入り、ラッシュって奴がな…色々やってくれたようだ。」
時は戻り、クロスジーン基地崩壊直後。
そのクロスジーン基地から距離は離れ、此処はとある6階建てのビルの屋上。
デューンは硝煙を上げたライフルを置いたまま、通話を終えたばかりのスマホをポケットへ仕舞い…立ち上がった。
「…ふぅ。…何にせよ、大事に至らずに済んで良かったな。デューン。」
「…にしても、さっきの一撃…やっぱり流石だね、デューン…!」
「…あぁ、これくらい…レイナとの連携さえ取れればな。…予め、標準は定めておいたし、簡単なもんだ。」
そこには…4人の姿と、各人のライフルがあった。
一仕事を終え、互いに顔を合わせる。
そして、デューンが再び口を開く。
「安心しろ…クラウ、お前の仲間達も守れたようだ。…心配だったんだろ?」
「あー、うん。…やっぱりね、こないだまで仲間として一緒に戦ってきた皆の命運は、守らなきゃいけないからね。…ザンも、取り敢えずは無事で良かったよ。…かなり重症そうだけど…」
黒髪の男はそう答えた。
そしてそのまま今度は、別のスナイパーに声を掛ける。
「…そうそう、さっきくしゃみしてたみたいだけど…大丈夫?…もしかして風邪?…フォルトゥナ。」
そう聞かれた眼鏡を掛けた背の低い女性…
彼女は、ゴーグルを首から下げ、手を鼻に当てて啜っている。
「う…まぁな。…誰かが私の噂をしていたらしい。…まぁ、こんなナリをしていたら、噂の1つや2つされたとしても、全く不思議じゃないが…仕方あるまい。」
高めのハスキーボイスが、そう答えた。
「…そのうち、私も彼等とも出会う事になるだろう。…先天的とはいえ、この名を授かっている以上は、図らずともいつか深く関わる事になりそうだ…」
「そうだな、その時は俺達のボス、レイナを宜しく頼んだぞ。」
「…あぁ勿論。分かっているさ。」
眼鏡の女性は、しっかりと答えた。
そしてまた、黒髪の男が口を開き、デューンに聞く。
「…デューンは早く、皆と合流しなくていいのか?」
「…それ程急ぐ事でもないだろう。…それより、滅多に集まる事のできない俺達…此方での時間を大事にすべきだ。…違うか?」
「まぁ…それもそうだけどー…」
「如何にも。貴公等は然り…俺は殊更に、表に生づる事いと有り難し。かくして貴公等と逢へる事むがしかりけり。」
「…ふっ、そうだな。」
長い白髪を靡かせ、1人の男が歩み出す。
「…俺とていつかはかの男、アクトの乙…ザイディンと面を合はせぬ。お手合はせしたかりぬ。」
3人に背を見せて屋上の際に立ち、外を眺めて風を浴びる。
「随分と楽しみにしているようだな。…まぁあれだけ因縁もあるようだし、当然と言えば当然か。」
「ま、俺達黒軍の仲間にもなった、あの激強のゼンディックスとも、相棒と噂されているほどみたいだし…相当見応えのある戦いになりそうだね。…ゼンディックスともそのうち会ってあげてもいいのに。」
「否…たとひ、斯かる事すれば、俺の欲を軽んずる事甚だし。ゆめゆめ、其の儘に、己の欲に従ふ事勿れ。かく思ひし。」
「そ、そっか…」
長髪の男はライフルを肩に凭れさせて、口角を上げて言った。

「…では、ここらで私達もぼちぼち下に降りるとしようか。」
「…そうだな。集まれて本当に良かった。お陰であのシェダルの愚行も止める事ができたしな。」
「そうだね、それと、無事に強襲が成功して良かったじゃん。」
「…うむ、俺も同感なり。」
ぞろぞろと歩く。
出口に向かって、4人の姿が動く。
「またそのうち、こうして集まりたいものだな。」
「そうだね。」
「あぁ…。」
…軈て、4人の影は、そのビルの屋上から消えていった。
彼等自身…己の身を、隠すように。

The end….