秋の気配を強く感じる札幌。コロナ感染もすこしずつ落ち着きを見せてきています。実効再生産数は0.7台と感染縮小が明確になってきました。

 さて、期日を越えて支払いが行われなかったとき、延滞利息をつけることが一般的です。すぐ思いつくのは金融機関借入です。

 

 これが期日を越えても約定利息しか付かないのであれば、借り手側の勝手な感覚で、

 

 「借換をしたつもりで払えるまでそのままに」という安易な判断につながるかもしれません。

 

 そこで、金融機関は期日を越えた債権について損害金をかけることにしています。借りた側が「あちゃ~」と思うくらいの、痛みを感じるくらいのものがかかってこないと「期日を守る」という抑止力になりません。

 

 延滞が発生した場合は損害金として約定金利に加え、14%の割合で計算、と銀行取引約定書に記載されています。

 

 一方…

 

 低金利時代が長く続き、2020年民法改正では、「特段の定めがない場合、法定金利は3%」と定められました。(以後3年ごとに金利は見直されることになっています)

 

 つまり個人間の貸し借りなど、特に金利を決めていない取引について延滞発生時などに掛ける利率は3%、ということになります。

 

 では、金融機関がかける、14%という損害金は有効なのか?というと…

 

 「双方が書面で合意」すれば有効、となります。この点、理論上は合意があれば何パーセントでも有効、となるとされています。

 

 一般的に、クレジットカードのショッピング枠の延滞は14.6%、キャッシング枠の延滞は20%程度です。

 

 では税金の延滞税は?

 

 結論からいうと14.6%です。

 

 基本は14.6%というところは変わっていないのですが、経済情勢にかんがみ、2014年から特例として低い金利が適用されています。

 

 2021年12月までの延滞税率は、納期限から2か月は2.5%、それ以降は8.8%適用となっています。

 

 つまり何をどう延滞しても延滞金利はつく、ということです。

 

 実際には、損害金が発生したようなケースでは、金融機関をはじめ貸し手側は、①まず元金回収、②次に約定利息、③最後に損害金、の順に回収をかけていくことが多いようです。

 

 損害金発生前にも元金を先に減らすため、利息を未収にして回収した金額を元金に充てる、という元金優先充当というウルトラC的なものはあります。しかし未収利息がたまっていくことになりますので金融機関としてはなかなか応じられないやり方です。

 

 長々と書いてきましたが、銀行借入に関する損害金14%について私が感じるのは、

 

 借入を含む銀行から見た与信が発生するときに結ぶ銀行取引約定書にすでに記載されている利率で、借りる側がそれに対して実質異議を述べられない、というところがひっかかります。(いやなら貸しません、ということにしかならないので)

 

 おそらく銀行取引約定書を交わすときには、

 

 銀行「御社が延滞することなんてありえないでしょうから14%なんて気にしないでください」

 借り手企業「そうですね」

 銀行「ウチだけじゃなくてどこの銀行も同じですし」

 

 なんて話が交わされていると思います。

 

 そしていざ損害金発生、となった段で、「本当にかかるんだ…」となるのが実際のところではないでしょうか。

 

 同じく、延滞を発生させない抑止力の意味合いの強い、国税の延滞税の税率は下がっているということを考えても金利には一考の余地はあるのではないでしょうか。

 

 借り手側としては、返せなくなったら…というときにこの損害金もかかってくる、ということを頭に入れておいてください。

 

 繰り返しになりますが、金融機関としては、先の①元金、②利息、③損害金の順で回収します。国税や地方税、社会保険料も、①もとになる税額、②延滞税の順で回収します。国税等については延滞税の最後の1円まで払わないと許してもらず、差し押さえなどの対象となります。

 

 損害金が発生したとき、国税等を延滞して最終的に払いきった企業は何社か見たことがありますが、金融機関借入に損害金が発生したところから損害金まで払いきって正常化したケースは見たことがありません。(※現状では払い続けるのが厳しい、という企業にはリスケジュールを行い、約定利息のみを払い続ける措置が適用されますので、それさえも払えない、損害金発生となるとほぼ例外なく破たんに至るため、という背景があります)

 

 

 

 

 

 

 池袋暴走事件で定着した、「上級国民」という言葉。実際にその差はどうなっているのか?

 

 

 

 

 

 

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