最近のある幼稚園での運動会での話。親がお弁当を作るのが負担という理由で、ある年から午後の部は無しになったとのこと。精神科医の岡田氏の主張する“「自己愛」(子どもの事よりも自分優先の考え方で、子どもと「愛の絆」で繋がっていない状態)の親が増えている”というのは正にこの事なのだと思います。「愛着不全」が要因となる社会問題がまたひとつ生まれてしまいました。

   ところで一番初めに自己愛の親が出現したのはいつでしょうか。岡田氏によれば戦前の「我慢」から解放された戦後の価値観の多様化から始まり、高度経済成長期(1954年から1973年)における工業化、核家族化によって、大家族の中で互いに気を使いながら生活してきた風習が消えた時からだそうです。
   その自己愛(=愛着の弱体化)の風習が当たり前になった戦後に生まれた子供が親になり、さらにその親から生まれた子供が思春期を迎えたのが70年代後半。自己愛の親に育てられた子どもたちは自己愛の程度を更に強め、その子供たちによって、日本で初めて愛着不全を要因とする社会問題が世の中に表面化されることになりました。それが「金八先生②」でも描かれた非行や校内暴力でした。金八先生の「私たちは腐ったミカンを作っているんじゃない!人間を育てているんだ!」の名台詞は今でも覚えています。
    あの社会問題が始まりとなって、その後、いじめ、不登校、家庭内暴力、虐待、ネグレクト、犯罪の低年齢化、薬物問題等と続け様に愛着の弱体化が原因となる社会問題が表面化してきているのです。そして今回新たに、「幼稚園運動会の午後取り止め」という問題が新たに表面化したのです。
    この愛着問題(乳児期に愛の絆を作れなかったこどもが、大人になってからも起こす人格面での問題)をこのままにしておくと、日本の社会が崩壊しかねない状況に陥ると思います。