http://www.jiji.com/jc/article?k=2016070300014&g=soc
(「日本人7人死亡=ISが犯行声明-突入前に殺害か、1人救出-ダッカ人質立てこもり」)

   バングラデシュの首都ダッカの飲食店で発生した武装集団による人質・立てこもり事件。「IS」による犯行声明が出された。  

   私は以前、NHKの特集番組で、「なぜ、若者はISに志願するのか?」というような特集をしていた。その番組の中で、日本の若者がISに勧誘される瞬間を捉えた動画を伝えた。
    日本の普通の若者が、日本の街を徘徊していたところに、ISの勧誘者とされる男が話しかけてくる。若者は、数分その男と話し込んだかと思うと、男の後をついて歩いて行った。(その動画では、二人の会話は聞こえなかった。)
   その様子は、その辺の街頭で行われている“アンケートの調査依頼”と何も変わらないのだ。 勧誘に来た男に拉致される訳でもなく、自分の意思で男の後をついて行く。
   その時のゲスト識者は、「ISは若者の心の隙間にうまく入り込んで勧誘してきます。」と解説していた。ここでいう“心の隙間”とは、いわゆる、“自分の居場所を無くして途方にくれている”状態のことを意味している。そこに言葉巧みに勧誘してくるのだ。若者にしてみれば、何かしらの“行動目標”を得ることができて、後をついて行くのだろう。
   こんな若者は今の日本にはおそらくゴマンといるに違いない。“自分の居場所”、それは、“誰かと愛の絆で繋がっている状態”を指す。いわば、自分にとって信頼ができ、自分のことを大切に思ってくれる愛着対象の存在である。このような、愛着対象を持たない、いわゆる“脱愛着”状態の人間を作り出したのは、他でもない“親”である。これまでに何度も述べてきたが、乳児期に適切な養育を受けることができなかった場合、信頼できる「安全基地」を得ることができず、「第二の遺伝子」と言われる愛着の影響を受けて、結果的に友人の中にも愛着対象を作ることのできない不安定型の愛着スタイルを持つ大人になってしまう。そういう若者が、ISに入隊し、結果的に敵国からの空爆によって命を落とす。なんと残酷な人生であろうか。
   だからこそ、世の中で親になろうとする方々は、「臨界期(0歳から1歳半)」に母親が赤ん坊のすぐ側にいて養育することの重要さを認識しなければならない。