【今回の記事】
青森の中1男子が自殺 同級生との関係、担任に悩み相談

   この記事によると、自殺した生徒は6月1日、担任との面談で、特定の同級生と席が近いことについて「嫌だ」と訴えたという。同月13日には生徒の母親から「授業中に椅子を蹴られるなどの嫌がらせを受けている」と相談があり、担任は相手の同級生らから事情を聴いた。ただ、事実確認はできず、2人の席を離した上で「何かあったら相談するように」と助言したという。学校はこの件を「解決済み」として町教委に報告していた。

   さて、驚いたのは、学校側がこの事例を「解決済み」として町の教育委員会に報告していたという点である。確かに2人の席は離したが、担任が「何かあったら相談するように」と助言していた通り、“何か起きるかもしれない”という事態だったのである。よって、「経過観察中」と報告すべきだったのである。「解決済み」と報告してしまったことで、学校側の中に油断が生まれたのである。また仮に、学校側に、町の教育委員会への「いじめ有り」の報告数をできるだけ減らしたいという“隠蔽体質”があったとすれば、それは完全な教師の怠慢である。
   さらに、何かあったら相談するように」との助言は、生徒がその助言を了承した限り、担任側としては、子供から何らかの相談があるまでは、問題は起きていないととらえることができ、事実上、問題を子供に丸投げした状態にしていたのである。いじめは、子供の力ではコントロールできないし、解決することもできない。しかし、担任への相談は、自らの判断に委ねられた形になってしまっていた。まだ中学校1年生という未熟な子どもにとっては、かなりのプレッシャーになっていたに違いない。
   また、いじめの加害者と思われる生徒に担任が事情を聞いたにもかかわらず、結果的にその生徒がやったかどうか確認できなかったと言うことであるが、もちろん、「疑わしきは罰せず」という原則があるため、それらの生徒に決めつけた言い方をするわけにもいかない。しかし、一般的な話として、現在は法律で、「いじめを続ける生徒に対しては学校長の判断で出席停止にすることもできることになっている」ということを知らせる事はできる。(「いじめ指導③ 〜理不尽ないじめに対する対処の仕方〜」を参照ください。http://s.ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12193361935.html?frm_id=v.jpameblo&device_id=8e57e0d77be746968fd7308a6a625313)これも以前投稿したことであるが、理由もなく幼稚ないじめをする生徒は、いじめを続けていくとどんな状況が自分に降りかかってくるか、と言うことを知らないでいじめている稚拙な生徒なのである。「自分が『出席停止』になるかもしれない」と知った時、必ず行動は変わる
   さらに、以前のブログ「いじめ指導① 〜子供が学校に行くのを渋り始めたら?〜」(http://s.ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12193065574.html
でも投稿した通り、問題が解決するまで学校には行くべきではなかった。今回の自殺は夏休みが終わる3日前に起きているが、親は6月の時点で子供の悩みを学校に相談している。つまり、親が事前に子供の悩みを周知していたのであるから、親の判断で子供に学校を休ませることもできたはずである。もしかしたら、「まさか我が子が自殺するはずはない」という油断があったのかもしれないが、この世に我が子の命は1つしかないのである。万に1つの危険性を考え、学校を休ませるべきであった。これはれっきとした「緊急避難」であり、尾木直樹氏も強く呼びかけている(「明後日から2学期始まる学校多いです…が、いじめが気になる人は無理しないで…http://s.ameblo.jp/oginaoki/entry-12194336636.html)ように、いじめから非難するために学校を休むことは恥ずかしい事でも何でもないことなのである。