さて、前回の夫婦のケースについて、岡田氏は次のような考察を下しています。

「愛着スタイルという観点から言うと、妻のAさんは典型的な『不安型』と言える。心配事があると、常に夫に頼ろうとし相談相手として求めている。自分で考えて判断できそうなことも逐一Kさんに話して、自分のやり方でよかったと言ってほしい。夫に話すのは、『それでいいんだよ』という夫からの承認と支持を得たいからでもある。一方、夫のKさんは見事な『回避型』で、もともと親密な関係や情緒的なつながりを持つのが苦手だった。会社のストレスを山ほど抱えていたが、そのことを妻のAさんに相談したりはせず、心の中に押し込んで蓋をしていた。この悲劇的なズレは、愛着スタイルという観点無しでは、到底理解できない。もしAさんが、Kさんが自分の苦しみを心に押し殺してし まっていたということを知っていたら、そして、AさんがKさんに愚痴や嘆きを言うことは、Kさんを責めようとしているのではなく、ただ『大変だったね』といたわってほしいだけだということをKさんが理解していたら、二人の擦れ違いは、ここまでエスカレートしなかっただろう。」

   さて、世の中には、この事例のように、妻が悩んでいる子育てについて夫に相談しているのに、夫がまともに話を聞いてくれない、または逆上する、という「不安型」の妻と「回避型」の夫というカップルはとても多いように感じる。岡田氏が指摘するように、それぞれの愛着スタイルの特徴を理解しあいながら生活することが大切なのだろう。そのためにはそれぞれの愛着スタイルの特徴を理解しておく必要がある。
   なお、愛着スタイルの種類とその概要については、本ブログの以下の投稿をご参照ください。
「愛着不全のタイプとその要因」

   根本的な解決策は、「不安型」や「回避型」のような「不安定型」愛着スタイルをもつ人間を減らし、「安定型」愛着スタイルをもつ人間を増やすことであろう。そのためには、繰り返し述べてきている乳幼児期の養育の在り方を見直す必要がある。このことについては、