ユマの失明【歌詞】 | 星でいっぱいの日々。
作詞:コウ
作曲:コウ
歌:MAYU





「汚い本…」
-忘却日記-
ユマはその書物を手に取った。
新書が多く並ぶ棚に乱雑に置かれた汚い紙束。
それは一際激しい闇を放っていた。

「どうしてこんな古い日記が…」
「え…?」
八月三十一日の次のページが、血で張り付き開けなくなっていた。
“愛する人と、永久に”


途切れかけてた生命線が 毒蛇のように舌を出して
掌の上、性感帯を 優しく伸びてく

ほら 
真っ赤な紹介ページで くだらない
プリセットでチープな細い 恋愛を
夢日記でこっそり綴る 崩壊欲に溺れ媚びた


作者:不明
彼女には胸を張り友達と呼べる人間が存在しなかった。
元々読書を好む彼女は、その奇妙な日記の作者に惹かれていった。
自分がその作者の一人だということにも気付かずに。


解けかけてた生存本能 世界を変える言葉は
あなたが記す全てに 宿されて
「生きて」

ほらあっちもこっちも乾く 静かな
カルテットに代替(かわ)ったを寓居(ぐうきょ)に
愛注射でちょっぴり(泣) 太ももの
注いだ夜に

ねぇ
一切合切の感情を奪ってはいけない?
この空虚な漆黒サーカス もう一度咲け
また失敗ばっかりの恋ごっこに陶酔的な
ロンリーベイベー。ロンリーベイベー。
逆らっても作家に乞う 続かないデートは消えて
虚言に妄執通りで あなたを探す
この手で 触りたい


その日も図書室で狂ったように日記に読み耽っていた。
「…?」
本棚の向こう側からこちらに微笑みかけてくる男子生徒がいた。
何故だか、この青年が日記のことを知っているとすぐに理解した。



壊レかけたde%62ふ37そ ehud 脳内投射
「仲良くしてね」 乱れた
正しさがわからなくなって 委ね笑った

何度もキスして 夜を包み込む
誰も気付かない 小さすぎるわたしを
「君は気付いてる 誰も存在しない(いない)こと」
神様ありがとう これが私の“騎士(ナイト)”


彼女はだんだんと視力が弱まっていった。
「最期に焼き付けておきたい」
冬が終わる頃には完全な闇が彼女の目を覆った。
「私、もう満足だよ」


どうかどうか聴いて頂戴 「本当に不思議な本だよ」
私が集めた音 「その日付に望むことを書けば現実になる」
手探りの左手が その首を絞めるまでは
「さよなら、ユマ」

「ごめんね」

ねぇ
一切合切の感情を奪ってはどうだい?
この数奇な桎梏(しっこく)サーカス もう一度哭(な)け
また失敗ばっかりの愛ごっこに依存性的な
ロンリーベイベー。ロンリーベイベー。
逆らっても殺家(さっか)に乞う 捲(めく)れないページは消えて
また生きても死んでも生きても死んでも あなたは何処?
涙はそっと 「これが私の“忘却”。」
あなたに届く ユマの眼帯が外れた。
「本当は見えてたの」


青年はゆっくりと首にかけた手を解いた。
「日記の効力が知りたかったんだ。」
「全部、世界が悪いんだよ。」
「待っていて、母さん、メア。」

ところで彼女は一体どんな望みを書いたのか
青年は一番新しいページを捲った。
「……」
青年の両目から悲しみが零れた。

一月二十四日 「愛する人に○される」