発端は、2009年4月、首相官邸が発表した「地球温暖化対策の中期目標について」である。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tikyuu/kaisai/dai07kankyo/cyuuki_mokuhyou.pdf


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この資料は、現状分析を省略し、対策のみ強調している。
麻生首相も鳩山首相もこの資料に記載された、15%の場合、25%の場合を、自ら内容を精査せず、発表しただけである。マスコミも評論家も根拠を調べずに、数字(負担金額)をそのまま転記しているだけである。

この資料がどのように作られたのかさらに調べると、首相官邸のホームページに会議の開催次第が掲載されている。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tikyuu/kaisai/

下記委員を招集して「地球温暖化問題に関する懇談会」を2008年3月5日から開催した。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tikyuu/kaisai/dai01/01siryou2.pdf

地球温暖化問題に関する懇談会 名簿
枝廣 淳子 有限会社イーズ代表取締役
奥田 碩 トヨタ自動車株式会社取締役相談役、内閣特別顧問
勝俣 恒久 東京電力株式会社取締役社長
黒川 清 内閣特別顧問
末吉竹二郎 国連環境計画金融イニシアティブ特別顧問
高橋はるみ 北海道知事
月尾 嘉男 東京大学名誉教授
寺島 実郎 財団法人日本総合研究所会長、株式会社三井物産戦略研究所所長
松井 三郎 京都大学名誉教授
三村 明夫 新日本製鐵株式會社代表取締役社長
薬師寺泰蔵 総合科学技術会議議員
山本 良一 東京大学生産技術研究所教授

さらに、下記委員を招集して「中期目標検討委員会」を2008年11月25日から開催し、2009年4月に内閣官房から最終報告を行った。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tikyuu/kaisai/dai01tyuuki/01gijisidai.html

地球温暖化問題に関する懇談会 中期目標検討委員会 名簿
敬称略(50音順)
茅 陽一 財団法人地球環境産業技術研究機構 副理事長
高橋 進 株式会社日本総合研究所 副理事長
内藤 正久 財団法人日本エネルギー経済研究所 理事長
西岡 秀三 独立行政法人国立環境研究所 特別客員研究員
浜中 裕徳 財団法人地球環境戦略研究機関 理事長
深尾 光洋 社団法人日本経済研究センター 理事長
◎福井 俊彦 前日本銀行総裁
湯原 哲夫 東京大学サステイナビリティ学連携研究機構 特任教授
◎ 座長

上記二つの会議議事録に目を通したが、一次分析が見あたらない。一次分析とは、全世界各国が排出しているGHGの量と内訳と対策、日本のポジションと日本のGHGの排出元とその問題点の分析である。なぜ、25%削減を受け入れたら世帯当たり36万円の負担を強いられるのか、全く理解出来ない。一次分析は、参加している委員が属する機関にあるのかも知れないが、国民が理解出来るように明示されていない。
「地球温暖化問題に関する懇談会」と「中期目標検討委員会」の資料・議論を検証する必要がある。

CO2の排出量が全世界の20%のアメリカと20%の中国がそれぞれ10%削減すると宣言し実行したら、4%の日本の全排出量に相当する。4%の日本がその25%(全世界の1%)を削減する努力をしなければならないことになる。この2カ国をCOPに取り入れることはいかに重要かご理解頂けると思う。

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(内閣官房資料より)

次回はエネルギーとGHGの排出について、世界の状況と日本の状況を明らかにしてみよう。