2月18日掲載の「分野別一次エネルギー」「分野別CO2排出量」排出量1,217百万トン/年は、燃料の燃焼によるもので、化学品などの材料起因、廃棄物起因を含めると、2月17日掲載の「2007年確定値」の1,304百万トン/年になる。
燃焼による炭酸ガス排出量は、1,217百万トン/年を100%として、一次エネルギーで比較すると、石炭37.3%、石油45.8%、天然ガス16.6%である。
分野別では、石炭が電力20.4%、産業用16.7%である。産業用の多くは製鉄用である。
石油は、電力8.3%、産業用10.6%、民生用7.4%、運輸用19.9%である。
天然ガスのCO2排出は、石炭の3/5であり、代替エネルギーとして利用が進められている。

温室効果ガスの削減に当たって、基本的には、使用エネルギー削減を推進することを第一の方策にすることに、誰もが反対しないだろうが、年間36万円の負担に耐えられない世帯が多いと思われる。
2百数十万円する太陽電池や、断熱構造への改造費、新築費、高額な電気自動車への初期投資金を工面出来ない世帯が多い。
内閣官房の資料は、国民の視点からは、非現実的方策である。

そこで、科学技術的な解決法がないか調べてみると、いくつかの解決案が開発されていることが判明した。
その一つは、炭酸ガス排出を他のもので代替する案、風力、太陽光などの再生可能エネルギーの増設、原子力発電の建設がある。発電における石炭から天然ガスへの転換もこの考えに含めてもよいと思う。
二つ目は、発電所、工場、民生機器の熱効率を高める技術開発、いわゆる技術革新と省エネ機器の普及である。以上の二つの方策は、これまで、政府マスコミが報道しているので説明を省略する。

三つ目に、発生した炭酸ガスを吸収し、永久的に貯蔵する方策があることも判明した。
CCS( Carbon-dioxide Capture and Storage)技術である。
石炭利用の現状とその課題について、資源エネルギー庁から「我が国石炭政策の現状と今後の方向性」という報告書が開示されている。下記URLは前日に続き再掲。
http://www.enecho.meti.go.jp/policy/coal/images/080904.pdf

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この資料を読むと、1990年から2020年まで、全世界の石炭消費量が倍増すること、その増加分のほとんどは中国とインドであることに驚愕を覚える。石炭消費量の増加分約40億トンは、CO2に換算すると96億トン(係数2.41)になる。日本の総排出量は、12億17百万トンであるから、日本8ヶ国相当のCO2が増加することになる。石炭は、安価な燃料で、埋蔵量も多いことから、今後、中国、インドなどの大人口の国で、使用量が大幅に増える。日本の削減目標のCO2の量の 100/25 x 8 = 32倍ものCO2を石炭燃焼で増加させる。
自動車すなわち石油の消費量を加えれば、さらに増加比率が高くなる。
日本が25%の努力をしたとしても、桁違いの増加に無力感を感じる。

この資料の後半にCCSを含む革新的CO2の利用技術が書かれている。

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RITE(地球環境産業技術研究機構)の下記ホームページに技術解説がある。
http://www.rite.or.jp/Japanese/labo/choryu/choryu-frame.html
詳しくは、RITE(地球環境産業技術研究機構)編の「図解CO2貯留テクノロジ」工業調査会を参照されたい。
また、政府主催の研究会については下記URLより、閲覧できる。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/k_6.html

次回は、CCSの国際性とコストについてデータを提供する。