前報では、日本のGHG削減の努力が、新興国の排出量増加に全く及ばないことを示した。特に、増加の原因となっている石炭燃焼に対する全世界的な対策を推進するこによって、GHG削減に大きく寄与することが理解出来るだろう。
その方策は、前出の資源エネルギー庁の資料に掲載されているので、参照されたい。
つまり、CCS、IGCC(石炭ガス化複合発電)、発電所の熱効率向上などの革新的技術を広めることが、直接CO2ガスの削減に結び付く。
日本の石炭火力発電所の全てに、CCSを付加する場合を考えて見よう。(実現出来るかは政策実行と技術次第)

1,217 x 0.204 = 248百万トンのGHG削減になる。

2007年の総量の1,374百万トンから削減分を差し引くと、1,126百万トン(基準年1990年、1,261百万トンの11%削減に相当)となる。
2009年8月発表の経済産業省の「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」 フォローアップ報告書に計画の説明があり、その5頁に、「二酸化炭素分離・回収コストを2015年頃に、トン当たり2,000円台、2,020年代に1,000円台に低減することをめざし」と処理コストの目標が書かれている。

2020年にトン当たり2,000円になるとして、248百万トンの処理費用は約5,000億円となる。
http://www.meti.go.jp/press/20090826002/20090826002.html
なお、この資料には、CCSを中心とする技術開発に、日、米、豪、中、印、韓、加の7ヶ国が参加していると記載している。

この5,000億円の負担を電力料金に上乗せし、2020年まで総電力量が1兆kWhで推移すると仮定すると、0.5円/kWhの負担増になる。世帯当たりの平均使用量は、1ヶ月300kWhであるから、月150円、年1,800円の負担増となる。

日本の電力消費は下記の電力事業連合会に掲載されている。
http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/japan/index.html

方谷先生に学ぶのブログ

1世帯当たりは下記に示されている。
http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/japan/sw_index_04/1190603_2270.html

CCSの技術を新興国に普及させることによって、大幅なCO2発生抑制が実現出来ることが可能である。
すでに、7ヶ国の共同プロジェクトが推進されている。

次回は、日本の電力供給の特異性についてデータを紹介する。