日本における電力供給は、真夏の冷房消費に対応せざるを得なく、約50%と負荷率が低い。最低消費量と最高消費量が、1日で2倍の開きがある。電力会社は、この最大の供給の義務を負っているため、年平均でみれば稼働率の低い発電所を半分用意しなければならない。この設備償却費も電気料金に加算される。1日の最大使用量は、約2億kWであり、最低が約1億kWとなる。日本は、この差の1億kWの発電所を準備状態に置かねばならない。
http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/japan/index.html

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http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/juyou/index.html

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1975年頃より、エアコンの設置が増加し、負荷率が低くなり、負荷平準化のプロジェクトが経済産業省と電力会社、設備販売会社などを中心に推進された。ピークカットとして太陽光発電、ピークシフトとして揚水発電、夜間電力利用蓄熱装置などの開発・普及推進を行ったが、エアコンの増加に追いつけず、負荷率は改善できていない。
最低消費量すなわちベースとなる原子力発電や流込式水力発電などの一定出力の発電所、負荷変動に即応できる火力発電所の使い分けが必要となる。日本では、消費側の平準化が出来なければ、原子力発電の発電量上限は、50%前後になる。フランスの原子力発電量は、全体の約80%で、気候問題(エアコンの設置数)が支配的であることが分かる。フランスより北のドイツはさらに負荷率が高いと推定する。

ピークカットとしての太陽光発電の寄与率を調べてみる。2007年の累積導入量は、電力事業連合会の資料から、191.9万kWである。(2008年23万kW、2009年48.4万kW 累計263.3万kW) 
内閣官房の25%削減の資料の55倍の導入量は、約1億kWであり、1日の使用量の最大差に等しい。ただし、バックアップ無しで、50%の不安定エネルギー源を系統接続すれば、天候の急変に対応出来ず大停電になるだろう。それを解決するのが、地域に分散バッテリーを置くスマートグリッド構想と言われているが、さらに追加コストが発生する。
http://www.fepc.or.jp/future/new_energy/jisseki/sw_index_01/index.html

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ここで、電力(kW)と電力量(kWh)の違いを説明する。
日本の年間(365日 x 24時間)電力量の約1兆kWhは、1.14億kWの発電機(能力)を連続運転すれば獲得できる。夏場のピークに対応するため、約2倍の発電所(現有 2.4億kW)を用意しなければならない。
一方、1億kWの太陽光発電を設置した場合、日本においては年平均で1日当たり3時間相当の発電時間となるので、年間発電量は、1億kW x 365日 x 3時間=1,095億kWh、全電力量の約11%をまかなうことが出来る。
現在の太陽光発電量は、0.2%にすぎない。

ドイツの再生可能エネルギー法は、原子力発電所を閉鎖するため、風力、太陽光などの全エネルギーに対する自然エネルギーの獲得目標を2020年20%としている。法律の目標より早く、現在16%を超えていると思われる(2008年15.1%)。最近の報道によれば、メルケル政権は、太陽光発電への優遇政策すなわちフィードインタリフの見直しと終息を検討していると考えられる。
ドイツの再生可能エネルギーの導入状況
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100128a05j.pdf

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下記は、欧州の系統連携について。各国の間で電力の融通を行っている。
欧州内の再生可能エネルギーの変化に対し、このネットワークでバックアップしている。
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100128a07j.pdf
下記は、各国の負荷率。再生可能エネルギー法の制定後、ドイツの負荷率が大幅に上昇している。
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g90224a03j.pdf

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ドイツFITの見直し報道
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201001/2010012300212


これまでの調査をまとめると、
技術開発により、国民負担の少ない施策をとることが可能。石炭火力発電のCCSは、1990年基準に対し11%削減
可能で、一世帯年1,800円の負担で済む。
新興国のGHGの増加は驚異的であり、日本の25%削減はまことに微々たる量である。国際的な協力の中で実現可能な施策は、CCSであろう。新興国においても経済発展に伴い、日本と同様に電力負荷率が低下するだろう。
マクロ的にみれば、太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用は、第一目標として、負荷変動に対する補助エネルギー源と考えられる。その発電量に見合うCO2も削減可能である。

太陽光発電についての調査報告は、別途、別テーマで紹介する予定。
次回は、石油すなわち自動車の調査報告を行う。