「森林と災害」
昨年7月の豪雨による山口県防府市の特養施設への土石流流れ込みと8月の岡山県佐用町の水害の記憶が新しい。
土木学会 山口豪雨災害調査報告書(防府市2009年災害)
http://committees.jsce.or.jp/report/system/files/2009yamaguchi.pdf
防府市ライフケア高砂周辺の航空写真
http://www.ajiko.co.jp/bousai2/hofu/hofu2.htm
地盤工学会 佐用町2009年災害報告書
http://www.jgskb.jp/japanese/saigaichousa/download.html
土石流のきっかけとなった表層崩壊は、放置された山林、または、杉・ひのき等の密集した単一人工林で発生している。単一人工林では、台風による風倒木被害地における崩壊が多く見られる。流出した木材は、下流で堰を作り、洪水被害を大きくする。佐用町ではこの洪水による多くの死者・行方不明者を出した。

密集した単一人工林の例(林野庁より)

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地形や地質などの自然条件の他に、災害を拡大する要因の一つに山林の管理の問題があることは多くの方が指摘している。林野庁も認識している。森林の管理すなわち間伐を早急に行うことが求められている。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/20hakusho_h/all/h13.html

林業に係わる個人、団体のホームページ
サブやん様
http://blogs.yahoo.co.jp/hakusyunetto/folder/619575.html
森林・林業学習館
http://www.shinrin-ringyou.com/
林業経営者協会
http://www.rinkeikyo.jp/kaiin2/kaiin.html
全国森林組合連合会
http://www.zenmori.org/index.shtml
森林で仕事をしている方
http://blogs.yahoo.co.jp/morisho5
田中淳夫氏のブログ
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/cat7348545/index.html

「林業の可能性」
日本国土の7割を占める森林(2500万ha)の生産高は、2007年、4,414億円(木材2,256億円)である。500兆円前後のGDPからみたら微々たる金額である。潜在的な生産性を持つ林業の可能性について、試算を行って見よう。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/20hakusho_h/all/h19.html
http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/20hakusho/pdf/s_2.pdf

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林野庁は、平成20年より、間伐促進法を施行し、6年間で330万haの面積を間伐する目標を掲げている。これは、年率55万haの面積を間伐する計画である。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/kanbatu/suisin/index.html
平成22年度の予算案では、間伐事業などに、1,182億円の予算を計上している。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/yosankesan/pdf/22k-03.pdf
http://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/yosankesan/pdf/22k-01.pdf

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林野庁の計画とは別の考え方で、間伐事業を拡大した場合の試算を紹介する。森林資源の適正化、間伐材の利用方法、雇用創出について、何らかの未来が開けるかも知れない。

原生林や高山などの約500万haを除き、必要な間伐面積を2000万ha(人工林1000+天然林1000)とする。平均蓄積量は、177m3/ha(人工林256m3/ha、天然林133m3/ha)である。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/20hakusho/pdf/s_2.pdf

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10年毎の間伐を行うとして、林野庁計画の3.6倍の年200万haの面積を間伐率30%で間伐すると、177 x 200,000,000 x 0.3 = 106.2百万m3/年(1億m3/年)の間伐材を生産することになる。(人工林を優先すれば、153.6百万m3/年)

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(間伐率30%については、森林組合や研究者の文献より推定)

年率10%の森林面積を、間伐率30%で間伐すれば、年率3%の面積の木材を伐り出すことになる。50年間で森林資源が倍増したことは、年率2%の増加に相当する。年率3%間伐は、資源量適正化に過不足ない目標と思う。10年毎に3回の間伐、30年後には主伐材が残る。

 H19年の自給率は23%であるので、計算上は、自給率100%も可能であるが、用途、コストなどの問題があり現実的ではない。(国内消費は83百万m3)
 年率1億m3の間伐を行うと、その用途がなく、伐り捨て間伐となり、大量の間伐材が森林に残る。林野庁の計画の自給率50%を実現したとしても、50%は残る。この未利用の間伐材を有効利用する売却先を捜すことが重要な課題となる。

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