未利用の間伐材を、薪すなわち燃料として使う。売り先は、電力会社の石炭火力発電所やボイラー設置場所である。現在、建築廃材や林地残材を火力発電所やボイラーで燃焼させる試みが増えているが、木質燃料の供給不足も伝えられている。

ソニーの木質バイオマス発電活用
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr/eco/site/reduce/02.html
建設廃材の不足
http://ameblo.jp/smile-eco/entry-10286639462.html
(一次ソースの読売新聞のデータが消去されているようなので、スマイル・エコ様にリンクしました。)
新エネルギー財団 林地残材バイオマス混焼発電
http://www.asiabiomass.jp/topics/1002_01.html
九州電力
http://www.kyuden.co.jp/press_h091104-1

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 温室効果ガスの削減のため、木質燃料の利用は、化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の使用量を減少させる有効な手段である。(木質燃料のCO2は、京都議定書ではカウントされない
次に、間伐材の燃料利用について、経済効果と温室効果ガスについて、試算を行って見よう。
平成21年12月25日農水省発表の「森林・林業再生プラン」によれば、10年後木材自給率50%を目標としている。H19年比で算定すると約40百万m3(主伐)に相当する。

間伐材1億m3全てを燃料にすると、生材の密度を500kg/m3、乾燥後の密度を0.65kg(乾)/kg(生)、単位熱量15.12MJ/kgから、間伐材の熱量は、
 100,000,000m3 x 500kg/m3 x 0.65 kg/kg x 15.12 MJ/kg = 491 x 1,000,000,000MJ= 491PJ(ペタ= 10E15)

密度、発熱量などについては、下記資料などから推定した。(日本エネルギー学会編 バイオマスハンドブック オーム社 523頁 を引用している文献が多い。)
資源エネルギー庁 2005年標準発熱量改訂
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/jukyu/resource/pdf/070601.pdf
九州大学 古賀先生
http://ffpsc.agr.kyushu-u.ac.jp/forman/bio_pdf/02/no_4.pdf

一方、石炭火力発電所で燃焼させている石炭は、
H19年、年間約87百万トン、約7,000億円である。(8,000円 /tとして) 
石炭の単位熱量が25,700MJ/tであるから、発電に投入する熱量は、2,254PJとなる。
 87,000,000t x 25,700MJ/t = 2,235,900,000,000MJ = 2,236PJ

資源エネルギー庁 2009年白書より
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2009energyhtml/p2-1-3-3.htm

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1億m3の間伐材の持っている熱量は、発電に使われる石炭の21%をまかなうことが出来る。
石炭はほぼ全量輸入であるから、7,000 x 0.21 = 1,470億円の輸入減となり、その分、内需を押し上げる。
この金額を間伐材の単価に換算すると
1.470億円 / 1億m3 = 1,470円 / m3 となり、材木相場(12,000円/m3)の12%の価格に相当する。

2008年の石炭の最高価格は、一般炭で 15,820円 /t と2倍になっている。2009年は下落したが、中国が純輸入国になり、インドも石炭需要を増加させるので、長期的にみれば、高騰する。
石炭の価格が16,000円/tであれば、代替する間伐材の価格は、3,000円/m3に相当する。

地方自治体や森林組合などの高性能林業機械を使用した効率化の報告によると、現在、生産コストが皆伐で5,000円/ m3、生産性が間伐で10m3 /人/日という数字が限界のようである。

秋田県 秋田スギ振興課より(他にも多くのデータがある。分かりやすい資料にリンクした。)
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1208500639094/files/2007FUKYUU.pdf