14.安倍首相と歴代総理・大臣発言について

 

「なぜ何度も謝罪しなければならないのか?いい加減にしろ」という意見について

 

(「従軍慰安婦問題」決着ーー泥さんが、右派のウソを元から断つ.に対する批判)

 

 泥さんは、安倍首相の発言や歴代総理、閣僚の発言を取り上げ「自発的な謝罪といえるものはほとんどありません」と結論づけている。それらの発言が何に対する謝罪だったのか詳しく見ることにする。

安倍首相
「2007年4月27日 安倍首相・ブッシュ大統領との共同記者会見」動画
 安倍首相は、共同記者会見において日本人と思われる記者から質問を受けた。

 

(安倍総理)慰安婦の問題について昨日、議会においてもお話をした。自分は、辛酸をなめられた元慰安婦の方々に、人間として、また総理として 心から同情するとともに、そうした極めて苦しい状況におかれたことについて申し訳ないという気持ちでいっぱいである、20世紀は人権侵害の多かった世紀であり、21世紀が人権侵害のない素晴らしい世紀になるよう、日本としても貢献したいと考えている、と述べた。またこのような話を 本日、ブッシュ大統領にも話した。

(ブッシュ大統領)従軍慰安婦の問題は、歴史における、残念な一章である。私は安倍総理の謝罪を受け入れる。自分は、河野談話と安倍総理の 数々の演説は非常に率直で、誠意があったと思う。私は安倍総理と共に日米両国を率いていくことを楽しみにしている。安倍総理は安倍総理の思うところを率直に語ってくれた。その率直さを私は評価する。我々の仕事は、過去から教訓を得て、将来に生かすということである、そしてそれは正 に安倍総理がしっかりとなさっていることである。


 以上の動画を見ると「従軍慰安婦」ではなく「慰安婦」を生み出した歴史的背景に同情を示したことであることがわかる。
 記者の「従軍慰安婦問題について」の質問に、安倍首相が「慰安婦」について回答し、ブッシュ大統領が「comfort women」と表現したのを通訳が「従軍慰安婦」と言い換えている。

 この記者会見での安倍首相の曖昧な表現が「従軍慰安婦に謝罪」と報道されて行く。以下、2007年の訪米前からの状況を紹介する。

 訪米前に、ニューズウィークによる安倍首相のインタビューが行われた。このインタビューで「日本軍の強制があった」とされる表現が問題になった。調べると以下の事情があり、記事が書き換えられた可能性がある。

1.鈴木官房副長官ブリーフ(日本語原文)
原文を掲載した産経阿比留記者のブログ

安倍首相米紙インタビュー全文と、報道って…


【慰安婦】
Q:総理の慰安婦についてのコメントについて、アメリカで反感が出ているが。
A:私は当時の慰安婦の方々に対し人間として心から同情をするし、そういう状態に置かれたことに対し、日本の総理として大変申し訳ないと思っている。20世紀においては人権が世界各地で侵害された世紀であるが、日本にもその責任があり、例外ではない。われわれはわれわれの歴史に対し常に謙虚でなければならないし、常に私たち自身の責任を思いを致さなければならないと考えている。
Q:私の記憶が正しければ軍が関与した証拠はないと述べたように記憶しているが。
A:これは官房長官談話のときの政府の調査についてであり、私が初めて述べたものではなく、今までの政府の見解(平林外政審議室長答弁など)を述べたものである。つまり事実関係について述べたのは私が初めてではないということである。ここで事実関係について述べることにあまり意味はないということである。
Q:要点は軍が女性を辛い状況に追い込んだことについて河野談話の立場を継承し、総理としてお詫びするということか?
A:彼女たちが慰安婦として存在しなければならなかった状況につき、われわれは責任があると考えている。そのときの状況として、慰安婦として彼女らが非常に苦しい思いをしたことに対して責任を感じているということである。念のために言っておくが、慰安婦の問題に関しては河野官房長官談話を私の内閣は継承しているとは一貫して言っていることである。

 

2.ニューズウィーク記事
As you know, your comments on "comfort women" caused an outcry in the United States. Do you really believe the Imperial Army had no program to force Korean, Chinese and other women to provide sexual services to Japanese soldiers?

I have to express sympathy from the bottom of my heart to those people who were taken as wartime comfort women. As a human being I would like to express my sympathies, and also as prime minister of Japan I need to apologize to them. The 20th century was a century in which human rights were infringed upon in numerous parts of the world, and Japan also bears responsibility in that regard. I believe that we have to look at our own history with humility, and we always have to think about our responsibility.

Do you now believe that the Imperial Army forced these women into this situation?

With regards to the wartime comfort-women issue, my administration has been saying all along that we continue to stand by the Kono Statement [a 1993 acknowledgment of Japan's partial responsibility for the brothels]. We feel responsible for having forced these women to go through that hardship and pain as comfort women under the circumstances at the time.

3.ニューズウィーク記事訳文(続・慰安婦騒動を考える)
-- 貴方は本当に帝国陸軍に朝鮮人や中国人その他の女性を日本兵相手の性サービスに強制する計画が無かったと信じているんですか?

戦時慰安婦として連れて行かれた人々に対して心の底から同情申し上げます。人として同情の気持ちを表すとともに、日本国総理として彼女たちに謝らねばなりません。20世紀は、世界のあちこちで人権が侵害された世紀でした。その点で、日本にも責任があります。私は、謙虚な気持ちで自分たちの歴史を見、常に自分たちの責任について考えていかねばならないと信じています。

-- 貴方は現在、帝国陸軍がこの女性たちをそのような状況に強制したと信じていますか?

戦時慰安婦の問題に関して、私の内閣はずっと河野談話(1993年に**宿に関して部分的に責任を認めたもの)を踏襲すると言ってきました。我々は、当時の状況下で、この女性たちに慰安婦としてあの困難と痛みを強いて(強制して)しまったことに責任を感じています。(NW 2007.4.29)


 安倍首相訪米前の4月21日政府発表の日本語原文の「そのときの状況として、慰安婦として彼女らが非常に苦しい思いをしたことに対して責任を感じているということである。」を、4月29日ニューズウィーク記事では次のように書き換えている。「having forced」という言葉が挿入された。

英文「We feel responsible for having forced these women to go through that hardship and pain as comfort women under the circumstances at the time.」
訳文「我々は、当時の状況下で、この女性たちに慰安婦としてあの困難と痛みを強いて「強制してしまった」ことに責任を感じています。」

2013年、衆院予算委員会で、民主党の辻元議員が質問し安倍首相が答弁した会議録の一部。
平成25年3月8日衆院予算委員会
[033]
○辻元委員 実は、ないんです。
 安倍政権になって、前回、初めて日本に対して欧米からも非難の決議が出たんですよ。そして、今も、アメリカの議員が佐々江大使のところに行ったりしているんです。
 ですから、総理、先ほど見直しをするような含みのある発言をされましたけれども、歴代言っている河野談話の前提と、それを根拠にしてこの談話を見直すということには無理があると私は思います。
 そして、こういうふうにも総理はおっしゃっています、安倍政権のときに強制性はなかったという閣議決定をしたと。これは、閣議決定したと言うけれども、今までの内閣と同じことを答弁書として閣議決定した、多くの人たちは知らないと。世界じゅう知っていますよ。
 アメリカに行かれて、前回のとき、ブッシュ大統領に対してこの問題で釈明をしたということを、ブッシュ大統領みずからがそのときの記者会見でおっしゃいましたよね、安倍から釈明があったということを。そして、多くの人たちは知らないと。世界じゅう、即日反応していますよ。
 そして、河野談話を修正したことをもう一度確定する必要がある。修正されたんですか。どうですか。
 これは、安倍総理の前原委員に対するこの間の答弁なんですよ。河野談話を修正したことをもう一度確定する必要がある、そして、孫の代までこの不名誉を背負わせるわけにはいかないという発言を、総裁選のときに安倍総理が言って、そして、このとおりだと認めたんです。
 河野談話を修正したことをもう一度確定する必要がありますか、どうですか。

[034]
○安倍内閣総理大臣 今、事実関係において間違いを述べられたので、ちょうどいい機会ですから、ここではっきり述べさせていただきたいと思いますが、ブッシュ大統領との間の日米首脳会談においては、この問題は全く出ておりません。
 ブッシュ大統領が答えられたのは、その前に私が既に述べている慰安婦についての考え方として、いわば、二十世紀においては戦争や、人権が著しく侵害された時代であった、そして女性の人権も侵害された、残念ながらその中において日本も無関係ではなかった、二十一世紀においてはそういう時代ではない、人権がしっかりと守られていく、女性の人権も守られていく時代にしていきたいということを述べていたことについての評価として述べたわけでありまして、その事実関係が違うということだけははっきりと申し上げておきたいと思います。
 そして、その中において、この問題というのは、いわば歴史のファクトの問題でもあります。一方、総理大臣の私の口からそのことについて議論することは、これは外交問題にもつながっていく可能性もあるわけでありますから、そこはやはり専門家に任せていくべきであろう、このように考えたわけでございます。

 

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産経阿比留記者のその後の整理(平成25年5月23日 産経新聞)元記事削除のため魚拓から

 

安倍晋三首相 ブッシュ米大統領(当時)に「慰安婦謝罪」の意外な真相 (産経新聞2013.5.23)
 首脳会談の冒頭で、大統領からこんな申し出があったのだ。「ミスターアベ、きょうは慰安婦問題と米国産牛肉の対日輸出の件は、話をしたことにしておこう」
 つまり、双方にとって難しい話題は実際は避けながら、対外的には協議した形をとりたいというわけだ。結局、慰安婦問題は話題にしなかったのに、質問を受けた大統領が適当に話を合わせようとして「なぜか『謝罪』と言っちゃった」(政府筋)のが真相だ。

安倍首相の発言集(第一次安倍内閣・改造含む) 平成18年9月26日~平成19年9月26日

 2007年4月の日米首脳会談共同声明において、ブッシュ大統領が「私は安倍総理の謝罪を受け入れる。」と発言したことは、阿比留記者が解説しているように大統領が口を滑らした可能性が高い。「安倍総理の慰安婦等への謝罪の気持ちを受け入れる」と言いたかったのでは。

河野太郎ブログ「ごまめの歯ぎしり」
いわゆる河野談話について
(要旨)物的証拠はないが16人の慰安婦から聴取した結果、強制的に慰安婦にされたと政府調査団が報告。1993年8月、それを踏まえて河野談話「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」が発表された。この「内閣の意思」をその後の内閣が受け継いでいる。河野談話を修正或いは撤回をするためには、政府調査団の調査結果に替わる事実を出せるか破棄することが必要になる。

 安倍首相の一連の慰安婦に関する歯切れの悪い発言は、河野談話を受け継ぎ、修正或いは撤回をしない限り、ニューズウィーク誌のようにマスコミに言葉の一部を切り取られ、反日勢力に利用されることになる。1993年8月の河野談話発表後の歴代の首相や閣僚の謝罪発言は言葉尻を捉えた韓国側の攻勢があったからで、河野談話を踏襲する以上何度も繰り返すことになる。
 泥さんは、事実を認めて謝らないから「それを認めないという閣僚の発言がいつまでもなくならないから、何度でも蒸し返されるのです。」と証拠のない自白を要求している。
 「最終的かつ不可逆的に解決された」と両国の代表が確認しても、何度も蒸し返すのは韓国ではないのか。(2015年12月日韓外相声明の実質的破棄を文政権が行っている。)