15.慰安所は戦地強姦を防ぐことが出来たのか

(「従軍慰安婦問題」決着ーー泥さんが、右派のウソを元から断つ.に対する批判)

 泥さんは、「日本軍は戦争中の強姦多発に悩まされ、沢山の慰安所を作りました。・・・結局のところ効果的がなかったのです。」「人道的犯罪で、国内法に違反する奴隷契約でした。こんなものを擁護し、公文書で明らかな事実さえも否認する自民党と安倍内閣は、恥ずべき存在です。一日も早く打倒し、新しい政府に、元慰安婦に対してこれまでの過ちをきちんと謝罪させ」と安倍政権打倒と結んでいる。

 1937年、中支那方面軍が、上海から南京に侵攻することを参謀本部が禁止していた、急ごしらえの寄せ集めの部隊編成で、兵站上補給が困難であったからだ。それを無視して、各司令官が功を競い、弾薬・食料の補給無しで進軍した。ナチス装備とナチス軍事顧問団指導の国民党軍は日本軍より装備が優れていたが、精神力において負けていた。上海の日本租界地を3万の国民党軍が包囲し、数千の守備隊では持ちこたえられないと日本国内の予備兵力をかき集め、上海に送り込んだ。退役し、病気がちの松井石根大将を中支那方面軍司令官に任命し、上海に司令部を置いた。

 日本軍は、国民党の包囲を破り、撤退させていく。国民党軍は、清野戦術(撤退時、あらゆる食糧・資材を焼き尽くす)をとり、首都南京に向かう。その背後を杭州から上陸した第10軍が国民党軍を襲い、南京に追い詰めていく。国民党軍の約30万の精鋭部隊が消滅する。このとき第10軍の不法行為は司令官が指示したとされ、後に戦争犯罪として裁かれる。

 上海、天津、そして満州は、日本軍の駐留・支配の期間が長く、慰安施設は民間と共用していたため、慰安所への軍の関与が表だってなかった。これらの地域では民間の女郎屋は、経営が日本人、中国人と混在していた。

 それまで中華民国の首都であった南京に入城した中支那方面軍は、いわば敵中に入ったようなもので、殺伐とした日本軍兵士(強姦など不法行為)を落ち着かせる安心できる慰安所が必要になった。もちろん南京には中国人相手の女郎屋はあったが、敵の諜報活動を防ぐため、日本人あるいは朝鮮人の酌婦がいる慰安所が必要になった。

 1941年12月日本軍の南方進出により、南京と同じように急ごしらえの慰安所が用意される。輸送や補給を軍に依存することにもなり、軍の関与が目立つようになる。これを「強制連行」だと左派やコリアンが指摘する。かなりグレーなのだが、軍が女郎屋や女衒の便宜をはかったことは事実だろうと思うが、娼妓・酌婦を軍が強制連行したとは、女郎屋や女衒の仕事ぶりから考えられない。

 占領下における進駐軍(米軍)の強姦、強奪、殺人は、目に余るものがあった。ソ連軍の欧州、満州での不法行為も多くの方が被害者になっている。古来、戦勝者には生殺与奪の権利があるとされている。日本軍だけを非難しても始まらない。下記に紹介する文献を追って行くと、GHQ統治下での米兵の不法行為が記録されている。

戦争と性

 日本軍は、中国大陸に長期的に出兵し、兵士へ休養を与え、内地とのローテーションする余裕もなかった。ある意味では、業者(女衒)と軍の暗黙の了解で、中国大陸各地の駐留地周辺の町に、その区画が設けられた。従軍といえばそうなのだが、業者が選んだ市場だと考えられる。終戦時、外地から日本に引き揚げた**婦は10万人を超えていたという説もある。

 米軍は、4年の戦争の間、豊富な物量と休息のためのローテーションを行っていたと言われている。また米国内では、キリスト教のモラルが**を制限していた。しかし、米軍兵士達は、日本軍の周囲を知っていた。(日本人捕虜尋問報告 第49号など)

連合軍占領下の慰安婦(**)について

恵泉女学院大学平和文化研究所編「占領と性」 インパクト出版会 (2007/05)より(書籍からのコピペ)

 敗戦により、米兵を中心とする連合軍兵士43万289人(1945年12月4日)が日本に駐屯した。沖縄を除いても700個所を超える米軍基地があった。

 ポツダム宣言受諾、天皇陛下の玉音放送後の8月18日に内務省警保局長名で「外国軍駐屯地に於ける慰安施設について」を各府県長官あてに打電された。「日本人の保護を趣旨とし、外国駐屯軍に対する営業行為は一定の区域に限定し、その区域は警察署長が設定し、日本人の利用を禁ずるものとする。警察署長は、性的慰安施設、飲食施設、娯楽場の営業指導を行い設備を急速に充実させること。営業に必要なる婦女子は、芸妓、公私娼妓、女給、酌婦、常習密淫売犯者などを優先的に充足させる。」

 これは、マニラ、沖縄に駐留していた米軍兵士の期待(日本に遊郭、私娼街があること)を連合軍従軍記者から伝えられたこと、日本の婦女子を守るため、各地で疎開が始まっていたことなどを先取りして、警察官僚が実行した。

 これが「特殊慰安施設協会;RAA(Recreation and Amusement Association)」の発足である。多くの米軍兵士が通い、瞬く間に性病が広まった。最盛期7万人の女性がいた。米国国内の宗教団体の抗議もマッカーサーに届き、1946年3月に全て閉鎖された。ところが、私娼いわゆるパンパンが急増、管理されない**によりさらに性病が増加、米軍のMPと日本の警察が狩り込みと言った私娼狩りを行い、強制的に病院に送り、検査、治療をした。

 GHQも表向きは本国の宗教団体の抗議を聞いて、RAAの閉鎖をしたが、事実上放任し、罹病した兵士を本国に帰還させると問題が発生するから性病管理を強化していった。世界中の米軍基地の周囲も似たような状況と思う。


 この顛末を良く知っているアメリカ人は、GHQのPHWのCrawford F.Sams准将(医師)である。国会図書館の「日本占領関係資料」に米国のNARAからコピーした資料があり、Sams准将の記録もある。現在日本の医療・衛生の基礎をつくった医師。DDTの持ち込みも。

 

憲政資料室 日本占領関係資料
(デジタルコレクションに収録されている資料はダウンロードできる。)

 神戸大学の博士論文にGHQ占領時の政策を調べた論文があった。巻末に多くの信頼出来る文献リストがある。Cruzさんの身元は分からないが、かなり冷静に書かれてる。

 RAAの記載は41頁以降、まとめは99頁以降に書かれている。結論的には「GHQは、日本の**に対して曖昧な態度をとった。彼らの意識は、米軍兵士の性病感染とその低減であった。」と。

「Occupation and sexuality--GHQ's policy-making on prostitution 占領と性 GHQの買**政策」 CRUZ, CLAIRE BLOSSOM

欧州戦線でも

第2次世界大戦中のフランスにおける性と米兵」を、米ウィスコンシン大学のメアリー・ルイーズ・ロバーツ教授が2013年6月に出版。

「解放者」米兵、ノルマンディー住民にとっては「女性に飢えた荒くれ者」

 生死を分ける過酷な戦いのなかにいる兵士達が荒くれて刹那的な行動に出るのは古今東西変わらない。逃亡、掠奪、窃盗、傷害、殺人、強姦などの犯罪は、平常時より多くなる。その荒くれた気持ちを落ち着かせるのが教育や慰安(レクリエーション、酒保など)であり、特殊慰安所の利用も実施された。15年も続いた大陸の占領政策は米軍のような休暇や交代制度がなく兵士に希望の持てない生活を強いていた。さらに1941年12月からの大東亜戦争では軍民あわせて600万人を動員し破滅の道を選んだ。引上げ時多くの日本人婦女子が被害にあったことも語られている。

 泥さんはこのシリーズを「安倍政権打倒、後の政権に慰安婦に謝罪をさせたい」と結んでいるが、その機会は2011年にあったのだ。

朝日 2011年12月18日
李大統領「慰安婦問題、優先的に解決を」 日韓首脳会談

 

「会談で李大統領は「終始一貫、慰安婦問題だけを語った」という。

 これに対し、野田首相は「我が国の法的立場は決まっている」と反論。1965年の国交正常化時に交わした請求権協定で解決済みとの立場を伝えた。同時に「これからも人道的な見地から知恵を絞っていきたい」と述べた。」

最後

 泥さんの経歴を紹介してこのシリーズを終わりにする。

 

 この泥さんのシリーズ投稿に対し、可能な限り確実な資料を使い反論を行った。泥さんの資料調査は、いいとこ取りの言葉を切り取り、「筆舌に尽くせない苦しみを与えた人道的犯罪で、国内法に違反する奴隷契約」と現代の価値観で判断し、韓国慰安婦の救済を求めている。泥さんも含め活動家や学者が日本人慰安婦に同情を寄せ救済を求める事例はほとんど無い。昭和23年の「**防止法制定延期」誓願で名乗り出た接待婦等に同情を寄せるが防止法制定を促す宮城参議院議員の批判にすり替え、救済の動きは見せていない。(6.敗戦後の日本人慰安婦たち)

 この泥さんの慰安婦シリーズはFacebookに投稿していた記事を2014年に収録編集したもので、2017年5月に亡くなった泥さんからの再批判は不可能である。資料調査の範囲を見ると地方在住で一人では入手しにくい資料があり、編集した「白樺教育館」や下記の「泥憲和全集編集委員会」などの支援者が泥さんの活動支援を行っていたと思われる。慰安婦研究の吉見教授も金福童さんの追軍師団名が記憶違いだとする泥さんの根拠の無い推論を支持するなど、左派学者には一定の支持が見られる。証拠も無くいい加減な推論を支持する左派活動家や学者に泥さんの悪態をお返ししたい。

(泥さんの活動拠点) 
 ウヨ(保守勢力)の言動をヘイトスピーチだとして、カウンターデモに参加することを呼びかけている。

 

泥憲和全集——「行動する思想」の記録
しばき隊に行ってきた

「弱きを助け強きをくじく」漢。関西「男組」所属

 

(今日は米国の選挙の結果が明らかになっていく、大統領は?、上院と下院の勢力は?、気になるところ。しばらく慰安婦シリーズを休み、米国選挙に関する話題を取り上げる予定。)