日本側の「謝罪と補償」の低姿勢を見透かしたように、韓国側は一貫して「強制性」を表現するよう談話の一言一句に注文を付ける。河野談話は日本側の自主的な表現では無く韓国側の添削をうけた文言であることが判明する。元慰安婦の聞き取り調査の前に談話の原稿が両国で確認されていた。担当した当時の内閣外政審議室と外務省の官僚達の意識が問われる。

(政府調査報告書の要旨)

「4 元慰安婦からの聞き取り調査の経緯」

(1)1992年7月~12月、韓国側は①被害者・加害者からの事情聴取②日本の誠意を示すため一部の慰安婦から聴取③日本政府が最善を尽くしたことを韓国人に示すこと④各地での調査、関係者からの聴取をすすめ、聞き取り調査は関係者の感情を和らげ強制されたと主張している人に誠意を示すことになると意見。

(2)日本側は元慰安婦からの聴取に慎重であったが、韓国側見解を踏まえ必要最小限の意見聴取を行うこととした。1993年3月の事務方のやりとりで「韓国側の協力を前提に慰安婦との面会を実施する用意がある」と打診、韓国側は「全員から聴取する必要はないであろうとし,「証人」の立ち会いを求めることはあり得るが、韓国政府は立ち合いを希望しない」と述べた。

(3)1993年4月頃より、聞き取り調査の調整が始まり、韓国政府は「遺族会」と「挺対協」との交渉を始めた。挺対協は、面会に難色を示し会がまとめた証言集をすすめた。韓国政府は、聞き取り調査は日本側の誠意を尽くす手順の一つであり韓国側の関係者の好意的反応を得るだろうと意向を示した。

(直接の聞き取り調査は、新しい内容は出てこないが最終儀式として有効だろうと言う意味)

(4)5月末から7月にかけて日本側は、挺対協と遺族会と接触し協議をしたが、挺対協の拒否にあい聞き取り調査を断念した。

(5)在韓国日本大使館は、遺族会と協議を開始し①聞き取り調査は遺族会の事務所で②韓国側人権擁護連合会の弁護士、訴訟に関わった日本側の弁護士、遺族会関係者各1名を立ち会わせる③希望する慰安婦から聞き取りを行う④外部の記者は除外、遺族会がビデオ撮影するが公表も法廷での使用もしない⑤訴訟に提出された慰安婦証言は、別途遺族会がまとめた資料を利用することとした。対象者の選定には日韓双方の政府は関与しなかった。


(6)7月26日~30日遺族会事務所で16人の元慰安婦から聞き取りを行った。日本側は内閣外政審議室と外務省から計5名が従事し、冒頭聞き取り内容は非公開と説明した。韓国政府要員は冒頭のみ視察。

(7)聞き取りは、日本政府の真相究明の真摯な態度を示し元慰安婦に寄り添うことが目的だったので、証言についての裏取りや他の証言との比較は行われなかった。聞き取り調査とその直後に発出される河野談話との関係については,聞き取り調査が行われる前から追加調査結果もほぼまとまっており,聞き取り調査終了前に既に談話の原案が作成されていた。


2014年6月20日「河野談話」政府調査報告書