慰安婦問題を利用する反日グループ(北米の元締めその2)

「世界抗日戦争史実維護連合会」(GA)について

Global Alliance for Preserving the History of WW II in Asia

 前回触れたGAは北米における反日活動の中心的組織である。2012年ニュージャージー州パリセイズパーク市に設置された慰安婦碑の背景を調べて行くと在米のコリアン、中華系のグループの存在が浮かび上がってきた。なかでも中華系のGAは、カナダを含む北米のALPHAグループの上部組織として主導的な立場にある。下記GAのホームページには組織的情報が書かれていない。日本語Wikiにある程度の情報が書かれている。代表者ピーター・スタネク会長、イグナシアス・ディン副会長の名前が書かれているが、スタネク会長は2014年に死亡している。現在の幹部構成は不明。

日本語Wiki

遠藤 誉先生のGA解説
なぜサンフランシスコに抗日戦争記念館?
サンフランシスコから「南京事件」イベントに関するメール

 GAは、1994年に設立され、GAの集会に参加したアイリス・チャンが南京大虐殺の資料に刺激されて「ザ・レイプ・オブ南京」の著作に取りかかった。1997年にアイリスの著作が出版されるとGAはその宣伝と販売促進を行った。スタネク氏夫妻はGAやRape of Nanjing Redress Coalition (RNRC)の団体で主導的な役割を果たした。

Peter Stanek会長(2008年~2012年、2014年死亡)

 ロッキード・マーチンに勤めた技術者で、1999年Rape of Nanjing Redress Coalition (RNRC) に参加、2009年にGlobal Allianceの会長に就任。彼の夫人Jean Bee Chanは、子供のころ中国から脱出した中国人、ソノマ州立大学の数学の先生。サンフランシスコのルーカス・バレー・マリンウッドに住む。

 

Marin Independent Journal 2009年5月30日

Man pursues apology from Japan for war atrocities

  スタネク氏は、過去にアメリカ数学協会のニュースマガジンの編集委員であった。チャン夫人と出会いは数学と思われる。

 アメリカ数学協会のIn Memoriamの2014年にスタネク氏の記録が残されていた。(意訳)

 「2014年10月18日76歳で亡くなった。(1938年生)1973年から協会のメンバーであり、ロッキードマーチンを退職するまで働いていた。彼は画像処理技術の特許の共著者であった。引退後、GAのミッションに力を注ぎ、会長を務めた(2008年~2012年)。数学協会へも多くの貢献をした。彼の妻、Jean Bee Chanソノマ州立大学教授も同様。二人が行った学生達への講義や全国組織への貢献により、2013年には数学協会から表彰された。」

Jean Bee Chan夫人の活動

2013年ソノマ州立大内に第二次世界大戦における日本軍の被害者を記す碑を設置(夫妻の写真)

 

 「チャン夫人は、4歳だった兄弟を戦争で亡くした。日本軍が医療施設を爆撃し、我々の村にやってきて全ての動物や食料を奪った。そのため病気になり、96歳の母は一人息子を失ったことを嘆いている。」
ソノマ州立大の説明文

 2019年チャン夫人(推定、1938年生)は、75年以上前の幼児時期の体験記、日本軍の非道を訴える反日プロパガンダ小説を出版した。

The Soldiers Are Coming!: My Early Life in a Chinese Village 1941-1946

 ソノマ州立大学の履歴書には、1960年シカゴ大・学卒、1961年同修士、1971年カリフォルニア大学でPh.D取得、同年ロヨタ大学に講師として就職と書かれている。2015年に42年間勤めたソノマ州立大学を退職した。

 チャン夫人は、RNRCの会長と説明があり、夫婦でアイリス・チャンを支援していたことになる。むしろ、反日活動はチャン夫人が主導権を持っていた可能性が高い。

2013年12月南京祭に参加するスタネク夫妻(RNRCの会長)

 スタネク氏の活動は、2012年頃で終わりGAのホームページも更新が止まっている。そして2014年に亡くなっている。その後もチャン夫人が積極的に反日活動に勤しんでいる。

2012年、スタネク氏がニュース・ガーナに投稿した尖閣諸島の中国領有プロパガンダ記事

 2012年9月に発生した尖閣を巡る中国の日本製品不買運動に関わるWSJの記事について、日本軍のありとあらゆる悪行を捏造し中国領有権の正当性を訴えている。

 遠藤先生の解説にもあるように、北米の中華系反日活動グループのルーツは、毛沢東の共産党に破れ1949年に大陸から逃げ出し、多くは台湾に逃れた外省人の国民党、そして北米に移住した方々である。(台湾と米国の二重国籍者が多い) アイリス・チャンの両親も、1949年大陸脱出、台湾経由で1962年米国に移住し、アイリスはその後1968年に誕生した。

 私は仕事で多くの台湾の方々と付き合ったが、外省人と本省人(1945年まで日本籍)の区別を見極めて話題を選んでいった。そのなかに、大陸から逃げた年配の外省人がいて、国共内戦の凄惨な状況について話を聞いた。恐ろしい体験は日本軍より人民解放軍の方が強烈であった。GAなどの中華系反日団体の特徴は、記憶に新しい国共内戦(1946年~49年)で財産を失い住まいを追われたことを語らず、日本軍を非難することに力を入れている。

 なお、一部のジャーナリストや活動家は、GAなどの北米の反日運動が北京の支援を受けているという説を拡散しているが、私はそうは考えていない。