資源エネルギー庁「総合資源エネルギー調査会」のHPには多くの資料があるので、分かり易い資料に基づき第6次エネルギー基本計画案について、順次問題点を指摘していく。
正式な計画案は下記パブコメの「エネルギー基本計画(案)」と関連資料にあるが、文章の羅列ですぐには読み解けない。
図表を使った分かり易い説明が7月21日の第46回会合の「資料1概要版」である。
資料1 エネルギー基本計画(素案)の概要
資料1の12頁に2030年のエネルギー需給の見通しが書かれ、発電電力量(年間消費)現状10,240億kWhを2030年までに9,300~9,400億kWhと13~12%削減し、目標の電源構成を下記のように提案している。( )内は2019年実績。(温室効果ガス削減割合は46%となる。)
再生可能エネルギー 36~38%(18%)
水素・アンモニア 1%(0%)
原子力 20~22%(6%)
LNG 20%(37%)
石炭 19%(32%)
石油等 2%(7%)
「電力消費量予測」
詳細は、第48回会合の「資料5 2030年におけるエネルギー需給の見通し参考資料」
・67頁 一次エネルギー
・69頁 電力需要
・26頁 運輸部門(EV マイナス101kl)
電力消費量の予測について、現状10,240億kWhを2030年までに9,300~9,400億kWhと削減する計画で、現在の産業構成が変わらない前提だと考えられる。ところが、社会の情報化社会の発展によって、現在の電力消費量9,800億kWh(980TWh)に対し、2030年IT機器14,800億Whと1.5倍(従来を加えて2.5倍)、2050年には1,762,000億kWhと約200倍の消費電力を加算しなければならないという報告がある。「亡国の・・・計画(1)に記載」 政府が進めているデジタル改革推進を考慮すれば、このITによる電力消費量増大をエネルギー基本計画に反映しなければならない。
また、EVの普及に伴う電力消費量は、約1000万台の乗用車がEVに置き換わるとしたら、約120億kWhの電力が必要であるという試算がある。(自工会の豊田会長は、乗用車全てをEV化したら原発10基(一基100万kWとして648億kWh)は必要と語っている。)
知的資産創造 2018年12月号
電気自動車を核とした自動車事業と電力事業の融合
ベストカーWeb 2021年4月22日
充電渋滞? 大停電? 電気自動車が普及したら訪れる危機とは
以上をまとめると、下表のようになる。(単位:億kWh)
2019年 2030年
基本計画(案)総電力量 10,240 9.400 (* 10,650)
振興機構報告 総電力量 9,800
IT機器使用量 (上に含む) 14,800
合計 24,200
(*は2015年の計画)
電気自動車 1,000万台 (上に含む) 120
基本計画(案) 150万台? (上に含む) 18
IT機器の電力使用量の想定額は、信じられないほど大きいが、エネルギー基本計画では、想定していないことが分かる。
基本計画ではEVに関して第48回会合の資料5の26頁に2030年のEV導入比率が16%(150万台程か?)と書かれ、省エネ量の電力がマイナス101万kl(電力量換算17.5億kWh 0.2%程の増加)と書かれている。
意外とEVの電力消費量がすくないので、今後EVの正確なデータを把握することにつとめたい。