これから基本計画書の各電源について、問題点を指摘していく。

 

再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、水力、バイオマス)

 

再生可能エネルギーの計画について 4月13日第40回資料2・114頁「まとめ」と7月21日第46回資料1・13頁を合わせて記載すると下表になる。(元資料は。GWとkW表示が混在し分かりにくいので、GWを100万kWに換算して表示している。)

 

7月13日まではそれぞれのエネルギー源の積み上げて3,126億kWhとしたが、7月21日には総量3,300~3,500億kWhと根拠を示さない目標値を置いた。(組織にありがちなトップのごり押しの数字の可能性が高い。)

 

まず、高市議員が呆然とした太陽光発電(Photovoltaic:PV)が如何に危険かそしてダーティかについて背景を紹介する。

「太陽光発電:PV」
7月21日第46回資料1の13頁(添付表)によれば、7月13日までの集計で、太陽光 1,244億kWh、陸上風力 302億kWh、洋上風力 107億kWh、合計 1,653億kWhである。これに7月21日、根拠不明(精神論か)の200~400億kWhを追加している。太陽光以外は、更なる追加ができないことが資料から読み取れる。つまり太陽光に400億kWhを期待していることになる。合わせて約2,000億kWh(全電力量の21%)をPV太陽光と風力に依存することになる。

天候に左右される太陽光と風力に依存する計画であるが、太陽光は夜間はゼロ、雨天曇天は出力低下、風力は無風状態になれば出力ゼロ、この変動に耐える為には、火力発電や揚水発電を稼動させるか蓄電池設置が必要になる。つまりバックアップ電源を用意しなければならない。火力発電を使えばカーボン排出低減にはならない。揚水発電や蓄電池は、二重の投資になり電力料金に加算される。

九州電力は既に太陽光の昼間余剰電力を火力やバイオなどの出力抑制を行い、その上揚水発電や蓄電池で吸収しているが、時には受入容量を超え太陽光の出力制御(制限)を行わざるを得ない状況になっている。需要の62%を太陽光が供給する事例や、天候急変による周波数や電圧変動の事例も報告されている。
2017年6月

九州電力における再エネ接続の現状と今後の対応

さて、基本計画の2030年目標では、太陽光の発電能力は、7月13日提案の10,000万kW(1,244億kWh)に300億kWh程を加えて約12,000万kW=約120百万kW(1,500億kWh)となる。
基本計画の資料には、全発電能力の記載が見当たらないので、下記電力事業連合会の資料から最大需要電力を2019年の165百万kWと比較することにする。

太陽光の発電能力は、全発電能力の約73%(120/165)に相当する時がある。
(a-3) 最大電力発生日の最小電力は95百万kWであるから、165-95=70百kWを上乗せすればよいが、全国晴天になり太陽光がフル稼動すれば、120-70=50百万kWが余剰となる。

この余剰を受け入れる揚水発電の能力はあるのだろうか。
(b-8) 電源別設備構成の2019年揚水能力は2,752万kW=27.52百万kWであり、余剰の約半分を受け入れる能力しかなく、太陽光に出力抑制を行わざるを得ない。(基本計画の2030年の揚水を含む水力は、ほぼ2019年5,000万kWから5,060万kWと微増である。詳細は後述の「水力」に)

 

2030年の目標では、この余剰電力を蓄える揚水発電や蓄電池の増設と夜間バックアップする火力発電が必要になる。

電力事業連合会
(a-3) 最大電力発生日の時間別電力需要の推移
 (グラフ目盛2,000百万kWは誤記で200百万kWと判断、図中の数字及びa-4の資料から)

(a-4) 月別最大電力の推移


(b-8) 電源別設備構成比 の推移