河野大臣と小泉大臣が策定に(下記記事:官僚を怒鳴りつけるなど)強い影響力を行使した「第6次エネルギー基本計画」は、非科学的で、計算が出来ていない夢物語だということを示してきた。

 

週刊文春 9月9日号

《総裁選出馬表明》河野太郎大臣パワハラ“音声公開” 官僚に怒鳴り声で「日本語わかる奴、出せよ!」と…
 

河野候補、政高党低と政府優先を主張、党の部会に参加した彼を見ていないと他の議員がこぼしている。

高市候補は「議員は主権者の代表だ。議員立法が優先。」と真逆である。
産経 9月21日

河野氏「政高党低でないと困る」 若手と意見交換

 

党風一新の会との意見交換会

佐藤参議院議員のツイート
【「部会でギャーギャー」、これは極めて失礼。外交部会長の佐藤としても受け入れ難いし、部会で国民の声を政策や議員立法にしている議員にも失礼→河野氏「政高党低でないと困る」 若手と意見交換】
副大臣等充実はいいと思うが、若手はその場で反論しなかったのか?残念
 

河野候補は、党内民主主義を否定し、さらには官僚の意見も受け入れない独裁的な体質を持っていることが、今回の総裁選で明らかになった。(防衛大臣時代、対案を示さずイージスアショア計画を一方的に破棄したことは、無責任極まりない。)

小泉大臣も、他人の意見を聞くタイプではなく、論理のすり替えを行って自己主張をする。

 
最後に下記要件を頭に入れて計画を立案していただきたい。
 
エネルギーの基本要件
(1) 貯蔵可能であること
(2) 需要に応じて供給できること
(3) エネルギーの変換・改質において損失を最少にすること(水素製造など)
(4) 安定な電力供給であること(停電、周波数変動)
 半導体工場では、クリーンルーム内の設備にウェーハを投入し、数百の工程を1から2ヶ月かけて回路が作られる。もし、装置内で加工中に停電或いは周波数変動により不良品が発生したら、全工程のウェーハを検査し、不良品を排除し、工程の組み直しが必要になる。(2010年東芝の四日市工場では、0.07秒瞬停で、復旧にかかった費用が200億円)
(5) 電気料金は産業の基本コストであるため海外諸国と大きく乖離がないこと
(6) エネルギー源の調達は国家安全保障問題
 

関連情報

「水素・アンモニア」

水素は、水の電気分解や石炭・石油・ガスなどの熱化学反応による改質で製造され、製造エネルギーが必要である。電気分解では太陽光発電で得た電力を使用、改質では熱エネルギーが必要となり、変換効率を考慮すると、発生エネルギーより製造エネルギーが大きいので収支が負になる。また、改質においては、分離した炭素の処理が必要でCCSなどの設備が必要である。水素利用が必須の場合を除いて発電に利用するのは得策ではない。

アンモニアは水素を原料として製造される。水素貯蔵・運搬の技術的困難さ(水素脆性、低温容器)を回避するためであり、利用については水素に準ずる。

 

太陽光電力を利用した水素製造施設

再エネを利用した世界最大級の水素製造施設「FH2R」が完成

 

「波力発電」

河野候補は、記者会見や討論会で、太陽光、洋上風力、送電網の整備、蓄電池の投資に加え、地元で実験を始めた波力発電に期待を寄せている。彼の頭には、それぞれのエネルギーの大きさと利用可能量(賦存量)が入っていない。

平塚の45kW、将来200kWの波力発電に期待している。80年以上前から研究開発が続いているが万kWを超える商用化に成功していない。エネルギーは、運動エネ(質量と速度)、位置エネ(質量と落差)、熱エネルギー(温度差、圧力)などがあり、これらの大きさを把握することが商用化の判断に必要だ。波力はポテンシャルが小さく、大出力をめざすならば巨大なシステムになり、採算が合わない。

平塚海洋エネルギー研究会

 

「小型モジュール炉」

資源エネルギー庁

原子力にいま起こっているイノベーション(前編)~次世代の原子炉はどんな姿?

JAEA 日本原子力研究開発機構

世界のSMR開発状況

 

「京大・核融合炉」 ASCII 4月20日

狙いは核融合炉実現の先 脱炭素利用を目指す京都フュージョニアリング

 

「ITER 国際熱核融合実験炉」

NHK解説

ITER 

 

「CCS或いはCCUS」

CO2を回収し地下に貯留する「CCS」と、さらにそれを利用しメタンガスや有機物に変換する「CCUS」により、燃焼後あるいは大気中の二酸化炭素の減量化を行う計画を提案して実証試験を行っている。  

  CCS:Carbon dioxide Capture and Storage

  CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization or Storage

 

資源エネルギー庁解説(前編)

(後編)

 

日経ビジネス

CO2を地下に閉じ込める「CCS」、世界で70億tの削減担う

 

NEDO

CCUS研究開発・実証関連事業 プロジェクトの概要

 

「系統連系」

電力の発送電の基本的な問題、「系統連系」の概念 電力会社の電力系統に複数の発電機が接続されている。この系統にある発電機は、同一周波数(50Hzまたは60Hz)で位相も一致して運転されている。通常、同一系統内には、基準周波数の発電機を用意し、その電力を他の発電所に送る。各発電機は、停止状態から運転を開始し基準周波数に近い回転数まで上げ、出力を系統に接続する。この際、周波数と位相を合うように自律的に連れ回りすることになり、その発電機(モーターでもある)は同一系統の仲間に入る。 同一系統においては、常に、需要に釣り合う電力を供給するため、個々の発電機の運転・停止を行う。この各発電機の制御の基準は、基準周波数からのズレでであり、それを修正するように回転する。発電機の脱落などで負荷に耐えられなくなったときは、各地の変電所を遮断し(部分停電)系統の周波数(発電側)を守る。 それでも負荷に耐えられず全ての発電機が離脱すれば「全系崩壊(ブラックアウト)」と全停電になる。2018年9月の北海道胆振地方東部地震による北海道電力のブラックアウトが記憶に新しい。

 

下図、タンデム自転車の比喩による説明  一定の速度(周波数)で走る5人乗りのタンデム自転車、一人一人を発電機と見なせば、系統連系の考え方が理解出来ると思う。

タンデム自転車は株式会社エナジー・オートノミー・ソリューションの解説から

 

「広域連系と周波数統一」

日本は、東京エリア、東北エリア、北海道エリアが周波数50Hz、中部エリアから西側は60Hzであり、東京エリアと中部エリアに周波数変換装置(FC)を設け、東西の電力の融通を行っているが、その量はFCの能力で制限されている。欧州のように周波数を統一し広域連系を行えば、再エネ大量流通の対応、系統の安定性増強が可能になる。

 

地域間連系線の増強計画

 

50Hzに統一した欧州送電系統運用者ネットワーク

entso-eの電力融通