「ロシアとウクライナガス紛争」

ロシア産のガスをヨーロッパに輸出するため、ウクライナやベラルーシュを経由するパイプラインを敷設し、通過料金を差し引いた格安の料金でこれらの国に販売していた。ウクライナは、代金の未払い、無断抜き取りを頻繁に行っていた。ロシア側は、制裁として天然ガス供給停止を行った。その停止はヨーロッパへの供給も止めることになる。(下記Wikiに詳細)

Wiki ロシア・ウクライナガス紛争

現在、ウクライナ経由のガス輸送を7割減としているのは、ヨーロッパに向かうガスを減らし、ウクライナに支払う通過料を減額しノルドストリーム2の運用開始を促すことが目的だと見られている。

注:バルト海経由がノルドストリーム

 

「ノルドストリーム」

2005年、ロシア(プーチン大統領)はドイツ(シュレーダー首相)と、陸上(ウクライナやベラルーシ)を通らずにバルト海底にパイプラインを敷きドイツに接続する計画に合意し、ノルドストリーム社(ロシア・ガスプロム社の子会社)をスイスに設立した。ノルドストリーム社には、2006年プーチン大統領の大親友のシュレーダー元首相(2005年退職)を会長として就任させ、KGB時代の東ドイツ諜報機関Stasiの部下を社長として入れている。2本のうち1本が開通した2011年末からガスを送りはじめた。2本目の開通は2012年9月。ドイツの脱原発の政策と一致している。輸送量は原発11基分。

 

下記廣瀬陽子氏の投稿に詳細が書かれている
独露のノルド・ストリームの開通 ―― その背景と駆け引き 2011年11月16日

 

ガーディアン 2014年8月13日
諜報機関ロシアKGBと東ドイツStasiの工作員とシュレーダー元首相

さらに、ノルドストリーム2の計画を推進しようとして、スエーデン元首相やフィンランド元首相を取り込んでいる。プーチンKGB帝国の拡大が進んでいる。
UNIAN 2017年9月8日
Nord Stream promoted by KGB, Stasi’s former agents - journalist

「ドイツ原発廃止決定」

ドイツは、2011年の福島原発事故を見て、2011年5月30日、全ての原発を2022年までに停止させることを決定した。翌日メルケル首相はシーメンスの幹部を引き連れて、インドへ原子力発電の技術供与の契約に行った。

翌日5月31日、メルケル首相はの専用機がイラン当局から領空通過を拒否されたというニュースが入った。どこに向かっていたのかと見るとインドであった。

ロイター 2011年6月1日

イランが独首相の専用機通過を一時拒否

メルケル首相はシーメンスの幹部を引き連れて、インドへの原子力発電の技術供与の契約に行った。(不要な物を他国に売るしたたかな商売)

原発全廃は決めたが、原発技術は積極的に売り込むドイツのしたたかさ:メルケル首相インド訪問

既にチェルノブイリ原発事故の被害を受けたドイツ国民が原発廃止を求め、19基の廃炉工事を進めていた。ドイツ政府は、2011年に老朽化した原発8基を即時停止し、残りの9基についても2022年末までに停止することを決定した。(3基は2021年末停止、最後の3基は2022年末で停止する計画。)

これに替わる発電所として、石炭(褐炭)火力発電所を2012年に2基稼働させ、その後11基の建設を行った。

2019年1月26日、2038年までに84基の石炭火力発電所を停止すると発表した。
Gigazine 1月28日

ドイツが2038年までに84基の石炭火力発電所すべてを停止し、再生可能エネルギーに置き換えていくことに


原発も石炭も止めて、安定した電力を供給出来るのは、水力と天然ガス火力であり、ロシアから供給されるガスが頼り。ドイツのエネルギー政策は理想論に振り回され、全体的な視野を失っている。

 

EU委員会は2022年初に、天然ガスと原子力発電をグリーン認定を行うことを提案、ドイツは原子力発電グリーン認定に反対、EUとしての政策決定に暗雲。

日経ビジネス 1月12日
原子力発電のグリーン認定をめぐりドイツとEUが対立

 

ドイツ新政権は、国土の至る所に風力発電を設置することを検討と、騒音、バードストライク、景観、無風時のバックアップなど多くの問題をかかえることになるだろう。

Gigazine 1月15日
二酸化炭素排出量削減のため国土の2%を風力発電に充てることをドイツが検討


「シュレーダー氏」

 

その後、シュレーダー氏は、プーチン政権下で上り詰めていく。ノルドストリーム2の建設にあたってはバルト沿岸諸国へのロビー活動もおこなっていた。以下の記事を読むと、シュレーダー氏の信念信条はいずこにあるのか疑わざるを得ない。

さらに、ロシア国有石油会社ロスネフチの社外取締役に就任。
ニューズウィーク 2017年8月22日
シュレーダー前独首相、露国営石油会社の取締役に メルケルが批判

シュレーダー氏は翌月突然韓国に現れる。

中央日報 2017年9月12日
シュレーダー元首相、慰安婦被害者を1人ずつ抱擁…「涙が出る」

シュレーダー氏の自伝の韓国語版の出版行事の訪韓、翻訳を行った韓国人女性を同行
ディリー新潮 2017年10月6日
親韓反日「ドイツ前首相」 5人目妻は韓国人

朝日新聞 2018年5月2日
5度目の結婚を前に…独元首相、婚約者元夫に訴えられる

 

「ノルドストリーム2」

 

2018年8月18日、メルケル首相とプーチン大統領は、「ノルドストリーム2」の建設に合意した。しかし、トランプ大統領がこの計画に反対した。(続きは1/3に戻る)

 

最後に

ウクライナを勢力圏に取り込みたい欧米とロシアのつばぜり合いが緊張を増している。ロシア軍がウクライナに侵攻すれば、欧米はノルドストリーム2の閉鎖を含む経済制裁を行うと予告している。

 

プーチン大統領は、大ロシア国を夢見て祖国キエフ・ルーシを取り戻すこと、そして大ロシア国の安定化を希望しているのではないか、と思わざるを得ない。

2014年のマイダン革命で欧米に奪われたウクライナを奪還すべくウクライナ国境に兵力を貼り付け、マイダン革命をまねた2022年カザフスタン騒乱では、即時、空挺部隊を送り込むという演習を行っている。

 

ウクライナ争奪戦は、プーチン大統領の出方次第になる。


(ウクライナとノルドストリームの投稿終わり)