マティスとマーク・ロスコーと望月通陽と | 渡邉知樹のぺぺぺ

マティスとマーク・ロスコーと望月通陽と

渡邉知樹のぺぺぺ

パリにいた時、それまでたいして興味も無かったマティスの絵を見て
あまりの美しさに、いわゆる、放心状態になったことがあった
(上の画像とは違うマティスの作品だけど、このシリーズの“青”は本当にきれいだ)

美しさを一瞬疑いそこから目をそらす
作品との一番良い距離をとり
頭ごといけにえに捧げ
虜になる

作品の良さと見ている時間はぼくの場合ほとんど比例しない
あとは家に帰るまで独り言を言っている
(たいていの場合、小声で「やばい」を連呼している……)



同じように最近見て感動した
マーク・ロスコーの絵と
望月通陽のブロンズの羊


望月通陽はまだ現役の作家
(これはとても嬉しいこと。ぼくの好きな作家は死んでしまった人ばかりだから
同時代に好きな作家がいることは励みになる)
彼の書く文章もすばらしい
ガラス作品も絵も染色もする
当たり前のように全てが望月通陽だ


一人の作家が色々な媒体で物を作る
前に絵が、後ろに彫刻が
東に言葉、あちらに鉛筆の線が延びて
僕の周りが作品で埋め尽くされると
その中心、ぼくのとなりに、ひとりの人間が立ち上がり

作家がいなくても
ぼくはあなたに触れることができる



渡邉知樹のぺぺぺ
「円い空」 40cm(高)×16cm(幅)×21cm(奥行)/望月通陽