日が暮れる。
街の色が変わり灯がともされた。
旧市街地の独自の歴史が色濃く残る景観はノスタルジックな雰囲気である。
 
フォトジェニックで女子旅が多いのも頷ける。
 
街が世界遺産というのは5年前に留学したマルタ島の旧市街以来で、あの時の高揚感が蘇ったように思える。
アジアとヨーロッパの文化が混じり合い溶け込んでいた。
 
 
 
 



川や橋もライトアップされ夢の中に潜り込んだような感覚になる。
誰でも夢の中ではそこを現実として認識する。
夢の中では夢だと気づかないのだ。





 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、20分ほどして景色に飽きた。
そう、ボクは飽き性なのだ。
 
 
急に早く帰りたくなったので、タクシーを探しに向かう。
この時間は個人タクシーがほとんどだったので一か八かで流しのタクシーをひろいに行った。
 
 
 
すぐにタクシーが見つかった。
早速乗り込みGoogleマップで宿周辺の場所を指差して連れて行ってもらった。
タクシーメーターをチェックしてみる。
初乗り運賃が少し高めに設定されていた。
高めと言っても数十円程だ。


 そんな事は許容の範囲内である。
小さなことで揉めたくないし、お腹の調子が悪いので早く帰りたかった。
フルーツジュースの中に入っていた氷のせいだと推測する。ベトナムの水道水は硬水である。


ボクが乗ったタクシーはホイアンの市街を抜け、田舎道を爆走している。
 きちんとした道を走っているのかを確認するために、いつもGoogleマップを起動しGPSで現在地の確認を怠らないようにしている。
変な道を走らせないように相手に身を委ねるのではなく、自分自身の目で確認できるように文明の利器は存分に使うのだ。




30分後に目的地まで着いた。
お金を払おうとタクシーメーターを見た。
36万4千ドンと書いてあった。


「単位がデカ過ぎて計算しづれーよ!!」


と心の中で文句を言っていた。
お金を数えている時に、ふと顔を上げて再びメーターの確認をした。


すると、メーターが切られていた。
タクシーの運転手が


「40万!!」


と、高値を請求して来やがった。
文句を言いたがったが、メーターが切られているうえに、この運転手が女に電話していたため(スピーカーモードなので声が漏れている) にまったく話し合いに応じようとはしなかった。


お腹も痛いし、運転手は女と電話しているし、メーター切られているし。



仕方ないので40万ドンを渡し


「お釣りは取っとけ!!」



と負け惜しみを言ってドアを開けて外に出た。






3万6千ドンも多めに取られたので、日本円での被害総額を調べてみた。






日本円で172円だった。
スタバのコーヒーより安かった。





 
 
 
 
 
 



翌朝。
ビーチを散歩。
そして、この日は最終日の朝だった。