3.11以降の一時、どの音楽聴いても入ってこなくて、それで辿り着いたのが西荻窪にあるCDショップ「雨と休日」がレコメンしてる音楽たちだった。そこで紹介されていた、静かで果てしのない音楽たちにとても癒された。音楽が自分に戻ってくる契機の、これが発端だった。しばらくの間、雨と休日のコンピ含め、ここで入手した音楽ばかりを聴いていた。


その後、主にツイッターを通じて知った若いミュージシャンたちの音楽を聴くようになった。静謐な音楽ばかりを聴いていた反動だったのかもしれない。ツイッターで知るミュージシャンたちはまだみんな若く未完成で荒削りだけど、そこが逆に魅力的に感じられたのだ。

平賀さち枝さんもそうやって知った女性SSWだった。彼女のMVをYou Tubeで観たのが最初だった。そのときはさらっと聞き流してしまったのだが少し気になっててCDを買ってみた。それ聴いてかなりびっくりした。CD帯の文句には確かユーミンやら矢野顕子やらの名前が挙がっていたが、個人的に真っ先に思い浮かべたのが高田渡の音楽で、聴き進めてゆくうちに金延幸子やはたまた Linda Perhacs なんかの名前が出てきたのだった。つまりそういう類のフォーク作品なんだが、そこはミキシングが中村宗一郎氏の仕事。音の全体のバランスはもちろんであるが、なんといっても声と楽器と集音マイクの位置関係が本当にすばらしかった。まるでフィールドレコーディングと言ってもいいようなあの空気感。もう春は行ってしまったけれど、初夏の今聴いてもばっちりな内容であった。


なに大丈夫よ
さっちゃん / 平賀さち枝


デビュー一枚目にして名盤決定。ずっと聴き続けてゆくだろう作品なのだけれど、ライブではすでに新曲も披露してるとの噂。やはりセカンドにも期待してしまうなあ。