ある程度の年月を生きていようが、
この世に生を受けてまだ幾年であろうが、
その時々の、『自分』にとっての危機やら衝撃やらという体験は、恐らくどなたにでもあることでしょう。
そんな前置きはさておき、皆さんは、自身が全く身に覚えの無い噂に巻き込まれたことって、ありますか?
私は、あります。あるのです。
今日は、そんなほろ苦い思い出噺などひとつ、お話させて頂きます。
❪第1話 夏の終わりと噂の女子高生❫
あれは、高校1年生の夏、茹だるような暑い、夏の日。
夏休み明けの始業式の日。
いつものように同級生に挨拶をするのだけれど、何やらみんな、微妙に視線を反らし、そらぞらしい雰囲気。
「ん?」
違和感。違和感しか無いこの空気。
よもや、私はいじめのターゲットに?!と思ったのだが、靴に画ビョウも入れられていなけりゃ、机に花も置かれてない。ベタな弄りは無いが、ただただ皆がよそよそしい。
夏休み中に、パラレルワールドに移動してしまったのだろうか。
そんな、イタイ中2病な妄想が、頭のなかを巣くう。
そんなこんなな時間を過ごしているうちに、いつの間にやら下校時間となった。
「かおちゃん!」
もやもやした気分のままで帰宅しようとした時、徐に同級生のSちゃんから名前を呼ばれた。さっきまで腫れ物に触るような扱いをされていた私は、やっと普通に対応してくれるSちゃんに安堵して、
「なに?」
と、にこやかに返事したのだけど、そっからさきのSちゃんは、躊躇いながら、視線をおどらせながら、なかなか話を切り出さない。
Sちゃんの様子に、どう反応したらいいか困惑しているうちに、意を決したような鋭い視線を私に向けたSちゃんの口から、意外な言葉が発せられた。
「かおちゃん。生物のT先生と、香港旅行に行ったって、ほんま?!」
え?!何?!( Д ) ゚ ゚
はい?どういうこと??
全く訳の解らない質問に、頭が追い付かない私に追い討ちをかけるように、Sちゃんの言葉が続く。
「だって、クラス中で噂になってるねん!夏休み中に、かおちゃんとT先生が二人で旅行に行ったって!!」
な、な、何ーーー( ̄□ ̄;)!!
初恋はおろか、パービーボーイズのコンタさんと喫茶店でお茶する夢を見ただけで頬を桃色に染める、オボコムスメのヨシダカオリ(まだまだバージン♥️はぁと)が、高校教師と海外旅行というデマ!!!
今聴いても全く色褪せない、サイコーにクールでタイトでエロティックでカッコいいグループ♪
そんなことは、どうでもいい。
夏休みは、一人でダブルソーダ食べて、高校野球観て、だらだら過ごしてギリギリに宿題片付ける、自堕落で色気のない女子高生やってたけど(゚Д゚≡゚Д゚)゙?
ステキな男子とアベックになって、ダブルソーダをぱっくり割って分け分けして、二人で食べながら下校するのが夢❤な、女子高生だった私(*´∀`)
それが、何故、生物教師と隠密旅行?
そんで、何故に海外?何故にゆえに香港?!
しかも.....
ええ、私の立場で、こんなこと言うのは、大変失礼とは思いますが、
ええっと、あの、その.....、
その、高校教師のおフェイスというのが........ね。
(続く)