都知事選、盛り上がっていますね。

細川さんの街宣は人であふれ、宇都宮さんの周囲も盛り上がり、家入さんの周りは若い人でいっぱい。本家の米国では相当な社会派アイス屋さんのベン&ジェリーズも、『投票に行ったらアイス無料』キャンペーンまではってる。

日本が本当の意味で平和な場所だったら、のんきな私は「みんなが政治に関心持ちはじめてすごい!ワクワクする~」なんて言って、お祭り気分だったと思います。そしてきっと「参加型」の色が一番強く、あっと言う間に公募の意見から素晴らしい政策を立ち上げた家入さんが面白くて、彼を応援したりしていたかもしれません。

○家入さん陣営が完成させた「#ぼくらの政策」(実際、素晴らしい!)
http://ieiri.net/policy/


でも、とっても残念ながら、今はそういう局面じゃないと思っています。舛添さんの持つ自民・公明の組織票は圧倒的です。私は母親として、必要なら戦争も辞さず、経済のために原発再稼働を狙う今の政権がこわい。あまりの右傾化に国際社会から警戒されているこの国が恥ずかしい。その犯人である安倍政権が応援している舛添さんが勝ってしまったら、次は3年後の国政選挙まで、今の政権の暴走に歯止めをかける機会がないことに、相当な危機感を持っています。

作家でシンガーの八木啓代さんなんかはこう言ってます。
「本来の都民のための政治を純粋に考えるのであれば、私は宇都宮氏に投票すると思う。しかし、今は、そういうことをいっている場合ではなく、すでに秘密保護法案は強行採決され、共謀罪もまな板に上がり、尖閣で揉め、戦争をやりたがっている人がそれをもはや隠さないという、日本の一大事である。」

そう、宇都宮さんもとてもいい。でも、今はまず、なんとしても極端に右傾化した日本に少しでもバランスを取り戻さなくちゃいけない。「素晴らしい政策を掲げたけど、負けちゃったね」では済まないんです。(そこらへん詳しくは、映画作家の船橋淳さんがとてもわかりやすくまとめています↓)

○今は平時でなく、戦時になりつつある~圧倒的な危機感という視点~
http://politas.jp/articles/83


ってもう、そんなことを毎日考えながらやきもきしてるのもバカバカしいので、今日、やっぱり生で見てこようと決めました。いざ、細川さん&小泉さん街頭演説ボランティアへ。細川佳代子夫人や音楽家の湯川れい子さん、社会学者の宮台真司さん、作家の澤地久枝さんたちと共に、私もビラを配り、街宣カーから応援スピーチも(!)してきました。




映像ではさんざんみていたけれど、細川さん&小泉さんの人気は本物でした。
渋谷ハチ公前に、人が入りきっていません。二人の顔が見える範囲は、人だらけ。人だかりの後ろまで声が届かない。あふれた私は、警察に「危ないから前に進め」と促され、スクランブル交差点を往復しながら話を聞いたりしていました。 




元首相が二人、過去を反省して脱原発&自然エネルギー化を訴える図はやっぱりすごい。
原発のない社会がほしいのは、もう環境運動をやっている人だけの話じゃなくなったんです。
あの小泉さんが(六ヶ所村の再処理工場稼働反対の頃から環境派の人たちが言っていた路線そのものの)脱原発&再生可能エネルギー社会に向けての演説を原稿なしでやっていることには、正直、感動しました。

「『総理の時に原発を進めて、今さら何を』という批判がある。原発は安全、コストが安いという話が嘘だと分かった。見抜けなかった私が悪いと言われれば、そう。でも、過ちを認めてだまって寝てていいんですか!」

「原発なしで努力した方が日本経済も発展するんです。新しい産業を自然再生可能エネに振り向けた方が、よりよい社会に向かって進むことができる。ひとたび事故を起こしたら、後始末に途方もないカネがかかるでしょう。安全基準を満たすため時間もカネもかかる。稼働させれば核のゴミが増えていくばかりなんです。ゴミの行き場はどこにもない」

「それに、再生可能エネルギーに切り替えたら、資源争いのための戦争をする必要もないじゃないですか」


…これをかつての保守派総理大臣が拳をあげて語るって、やっぱりすごいことじゃないですか?
へんな規制かけないで、この盛り上がり、テレビでも放映してほしいなあ。 


細川元首相夫人の佳代子さんが飾らず素敵だったのも、印象的でした。

「細川が政界を引退してからの田舎暮らしはね、本当に幸せな老後だったんです。政治には一切口をはさまず、のんびりと野菜を育てたり、細川は陶芸をして、絵を描いてね。
 満ち足りて幸せだった生活が一変したのは、311です。私は福島県南相馬市の友人が心配で、すぐに行ってきた。細川は、行き場のない瓦礫の上に20mの土を盛り、在来の木を植えて東北に天然の防波堤をつくろうじゃないかという運動をはじめた。原発の恐ろしさにどうして総理大臣時代に気づくことができなかったかと猛反省して、動かずにはいられなかったんですね。いま、原発がなくても豊かで幸せな社会をつくることをやらずに、死ぬことなんてできないって。
 同じく引退していた小泉さんが脱原発を言い出したときは、本当に嬉しそうでした。都知事選がはじまって、誰が出るのかと様子をうかがっていたけれど、舛添さんを止めることができそうな方、今の流れの政治を変える力がある候補者が、待てども待てども出てこなかった。小泉さんとお互い『お前やれ、お前やれ』ってしばらくやりあってましたけど… 小泉さんは自民党に人質をとられてますから、笑、 …細川が出ることになったわけです。あまりに遅い決断でしたけれどね」


細川さんの出馬が脱原発派を2分させるための自民党の陰謀だとか言う人いるけど、そんなことないと思います。二人は本気で、ただ純粋に、今の日本の向かう方向を危惧している。悠々自適な隠居生活をしていることもできたのに、わざわざ立ち上がったんです。「日本が今後、原発という過去の産業にしがみつくのか、新しい時代にステップアップしていくのか、世界中が注目しています。原発がなければ経済がたちゆかないと言う人がいますが、日本では今も原発ゼロなんです。またとないチャンスです」(細川さん)ってことなんです。

そうそう、政見放送だけ観て、「細川さんは脱原発しか語らない」という人もいるけれど、もちろん他に政策がないわけじゃありません。今もう一度あの規模の震災があったときに、浜岡や柏崎の原発に事故があって首都圏全避難になれば、どんな素晴らしい政策も水の泡です。だからまずはとにかく原発を止めましょうと話しているだけのこと。

「原発以外の、児童や高齢者の福祉や防災については、優秀な都の職員で作っている『アクション・プラン』にほとんど尽きています。都知事は、優先順位をつけて、それをどう具体化し、どれだけのコストでいつまでにやるのかを明確にすることが大事。大きな方向性を示すのがリーダーの役割です」

細川さんだって、待機児童問題も、格差の問題も、高齢化対策も、防災の町づくりも全部、確実に取り組まなきゃいけないのは百もご承知です。「人前で話すのが苦手」と言うし、実際そうだなあと思うけれど、笑、よーく聞いていると、本当に大事なことを話している。

「福島で作っていた原発エネルギーの恩恵をさんざん享受してきた東京が、福島の人々に起こったことを忘れて『原発は都政の争点じゃない』などと言えるわけがない」という姿勢は素晴らしいし、「やると決まったからにはオリンピックもやるしかない。ですが、なるべくコンパクトに、かつ東北の協力のもとでやっていく」という意見にも、共感できます。

細川さんを応援している専門家の層は厚く、リベラルです。それも肌で感じ、心強いと思いました。一例ですが、今日は、政治学・福祉国家論・地方自治などがご専門の福岡政行さんが応援に立ち「今の政府のありかたに賛同できずに官僚であることを辞めた方、心ある専門家たちの数が100人はいます。細川さんが都知事になれば、私たちは喜んで、手弁当で、細川さんの仰る共存型社会の実現のために具体的な政策を練りましょう」と仰っていました。

小泉さんがかつての自分の無知を反省すると公言する一方で、小泉さんのかつての政策に最後まで反対し続けた文化人・知識人が、「今はとにかく舛添さん(=安倍政権)を止めるときだ、それができるのは細川さんだけ」と応援に動き出した。正しさの主張や運動だけでは社会が変わらないことを知り、原発や戦争のない日本のために手を携える人たちがいることに、私は純粋にワクワクします。

細川さんと小泉さんは本気だから、仮に今回の選挙で負けても「脱原発」交戦を続けると思います。でも、もし、もし、勝つことができたら、今度こそ日本が変わり始める予感があります。特定秘密保護法案が強行採決されてしまったときは指をくわえて見ているほかなかったけれど、今度こそ、都政から国政に待ったをかけることができるようになる。

「もし勝てたら」なんて言ってるけど、細川さん応援者は日に日に増えています。実際には、今まだ投票先を決めていない300万人のうち、3人に1人でも投票に行けば、確実に舛添さんに勝てる。

都知事選まであと2日。
みんな、家族と友達に声かけて、雪に負けずに、選挙に行こう~!


最後に余談ですが、細川夫人の佳代子さんの話、ここらへんも良かった(↓)。

「私は知的障がいのある子どもたちの支援活動で家を留守にすることも多いですが、夫は自立しているのでほっといて大丈夫なんです。家事も健康管理も、自分でする人ですよ。決めたことは必ず計画どおりにやる人」


…あの世代で家のことができる男性は素晴らしい!!
細川さん、母としてだけでなく、主婦としても、素直に応援したいな。