昔から、物語は、静かな夜にワクワクするスパイスを加え、同時に、ほしい未来やあるべき社会の姿をコミュニティーで共有する役割を担ってきました。

物語に込められたメッセージはわからなくても、面白いお話そのものはずっと心に残り、大人になってから背景に込められていたメッセージに気がつくのはよくある話。そして、物語世界にワクワクすることで培われた想像力は、実社会で、変えることのできるものを変えていく勇気と、変えることのできないものを受けいれる冷静さとなって生きる。と私は思っています。

でも「物語を作ったり聴いたりするには、忙しすぎる」?

そうかな?
考えてみれば、世界は昔も今も、人の紡いだ物語でできています。どんな物語を語るかは、その人次第だけれど。





というわけで、昨日は渚小屋にて、「お話の力」を再確認してきました。
「探求学舎」(http://tanqgakusha.jp)との出会い、面白かったー。

探求学舎が10年続けてきた学びの世界は、知識の伝達ではなく、必ず「おはなし」からはじまります。

時間って何?
菌ってわるもの?
歌舞伎ってどんなもの?
犬と猫ってなにが違うの?
恐竜が巨大化したのはなぜ?
虫に言葉はあるの?

などなどなどなど、あらゆるジャンルで、親子が一緒に楽しむことができる「おはなし」を、紙芝居スタイルのナレーション付き動画のかたちで制作。最近やった「古代文明をめぐる探求」シリーズも、最初は「桃太郎」などのおとぎ話からはじめ、身近なテーマから少しずつ全体を紹介して、子どもの興味をグイッと持っていきました。探求学舎の皆さんは、それがとても上手です。


探求学舎のお話には、たいてい2つのエッセンスが込められています。1つは、素晴らしい自然のメカニズムと、そのメカニズムを発見するまでのこと、そしてもう1つはその発見を誰かのために役立てた人のこと。物事の成り立ちがわかり、その成り立ちを支えた人の物語が浮かび上がれば、どんなテーマでも、自然と「もっと知りたい」と感じて、ワクワクするもんね。探求学舎はそんな風にして週に1本作る「おはなし」の動画をきっかけに、子どもの探究心を育む私塾です。

(彼らの面白い授業は、https://www.facebook.com/tanQgakusha/?pnref=story でチェック!)

動画はこれまでに50本以上制作してきて、今は通信教育もしているから、毎週1本配信しているそう。毎週あのクオリティーの問いかけを配信する・・・って、すごいっ!脱帽です。尊敬します。私も「探求ファミリー」(http://www.tanqfamily.com)の会員になって、わが家に「おはなし」旋風を吹かせようと思いました。いやー、家でできること、たくさんあるね。






いま、私たちは、知識やデータならいくらでも、google先生が瞬時に教えてくれる時代を生きています。すでにある世界について「覚える」だけの勉強が面白くないのは、当然のこと。子どもが、これから自分たちで作っていく世界に真正面から向き合い、自ら問いを立て、探求していく精神を、楽しく育むお手伝いができたら・・・

今日は、そんな風に考える教育オタクな大人たちで集まって、情報共有をする場だったのですが、自然と話は発展。子どもに「探求派」の学びを提供する場所を増やそう、それも中央発信型ではなく、ローカルに寺子屋的な場所を増やす形で広げていこう、という作戦会議へとむくむく広がっていきました。

が、自分自身が探究心むきだしの大人コドモたちで集まっているので、話は行ったり来たり。ひとりで熊野古道を守った南方熊楠の人生のスゴさにはじまり、ユングの言う外向性・内向性について考え、古墳でコーフンして、内村鑑三の「後世への最大遺物」に感じ入り、堀川高校の奇跡に驚き、子どもの育ちの中にbio-region(生命地域)の体感があることの大切さを確認し、鶴見俊介さんの言う「山野跋渉(ばっしょう)」と「散文的」文化を見直し、身体・五感の洗練と「探求」をどう組み合わせていくかについて語り・・・ 


ワクワク楽しいおしゃべりが盛り上がり、続きはまた次回。となりました。
逗子に探求博士をお招きする際には、またこちらでも報告しますー!