Building a fire with tall goldenrod and hemp strings... This is the #trackerschool way!! Enjoyed my first charcoal digging, too. Working on fire and making something from scratch with a knife - fun and philosophical work. 

 

パーマカルチャー菜園のある保育園「ごかんのもり」に、鹿児島から友人・テンダーこと小崎悠太くん来訪。「わがや電力〜12歳からとりかかる太陽光発電の入門書」でちょい有名人な彼は、北米先住民の技術を伝える学校「トラッカースクール」で生きるためのスキルの基礎を学びました。

 

 

 

そんなテンダー一家が暮らすのは、電気・ガス・水道の契約をしていない古民家。水は沢水、電気は太陽光発電、火は裏山の薪からまかなっています。

 

「わがやでは料理に風呂焚きに、毎日火が燃やされています。着火にマッチを使うこともありますが、技術のおさらいがてら日常的に火おこしを楽しんでいます」

 

ひえー、ツワモノ。でも、普段はガスや電気に頼る私たちだって、災害時には他人事じゃありません。

 

「たとえば冬、雪が降る中、災害で避難所にいるとする。電気はない。寒くて暗い。そんなとき、そこに一人でも、そのへんにあるもので火を起こせる人がいたら?もう、ヒーローですよ。
 しかも、それができるのが、二人だったら?三人になったら?その場の絶望感も変わってくる」

 

・・・確かに。

 

というわけで、彼ができる数あるワークショップのうちの基本のキ、火起こしからみんなでやってみることに。

 

 

 

<火起こし>

 

テンダーが取り出したのは、秋になってからからに乾いたセイタカアワダチソウと、ほぐした麻ひもと、板1枚。これで火おこしをします。

 

詳しいやりかたはBePalに詳しい(http://www.bepal.net/camping/bonfire/11639)ので、ここでは印象に残った考えかただけ。

 

「火きりぎねのセイタカアワダチソウは父さん。火きりぎねと摩擦する火きりうすの板は、母さん。そこで生まれる火種は赤ちゃん。ほぐした麻ひもは、赤ちゃんの揺りかご。

 トラッカースクールで、必死に起こした火種が消えないようにと、俺がフーフーフーフーやたらめったら息を吹きかけていたら、先生に言われました。お前は、揺りかごにいる赤ちゃんにそんなことをするのか。優しくしっかり、息を吹きかけて育てよと。

 それから、よくこんな風に、地面に落ちた火種を足で踏み消しますね。それも怒られる。お前に必要があってせっかく生んだ火を、最後まで使い切ることなく足で踏みつけるようなことはするなと」

 

はー、そうだよね。

 

 

 

 

「3ヶ月、毎日練習した」というテンダーだと今や3分足らずで火がつきます。「意外と簡単なのかな?」と私たちがやってみたら、2時間やってもつかない!

 

鉄棒の練習をしている小学生みたいに、手の平の皮までベロンとむけちゃった人もちらほら。でも、つかない。2人がかりでやる場合のお互いの力加減やタイミングの塩梅にも、工夫が必要で。

 

 

そう、火は、そんな風に貴重で、ものすごく大切なものだったのでした。教科書じゃ教えられない暮らしの中の知恵と経験、昔は年長者が若い人たちと時間を共にして、教えていたのでしょう。スイッチポンの便利な世界が私たちから奪ったもの、思っているよりも深刻かもしれないなあと思いました。

 

 

 

<チャコールディギング>

 

なんとか火起こしができて、お昼をいただいてからは、初めてのチャコールディギング。めちゃくちゃ楽しかったなー。

 

チャコールディギングというのは、木材に穴を掘る技術のこと。森の中などで、刃物がないときでも木材に深い穴を開けられる、素晴らしい先住民技術です。

 

炭を木材に乗せ、ふーふーふーと吹いていると木材の表面温度がだんだん上がってくる。そのうちうっすら、木材のほうにもほわっと火がつく。その火と、ナイフをうまく使いながらスプーンのくぼみを掘っていきます。ほとんど道具も力もいらないので、子どもたちにもできる。調子に乗ると、スプーンに穴があいちゃう。今回は時間の関係でスプーンを掘ったけれど、本当はコップやお皿、深い穴のものもできるって。なるほどねー。

 

 

日本にこうした技術があると聞いたことないのは、なぜだろうと考えて、はっ。日本には竹があったから、この技術はいらなかったんだ。節がある竹は、切るだけでカップやお皿に、割るだけで箸になったんだ。

 

火とは。スプーンとは。文明とは。
いろいろ考えちゃったなー。

 

 

ここには書ききれない、すぐには文字に起こせないような、おなかの底で感じながら考えるような感情と思考がぐるぐるはじまりました。そういうの、普段なかなかないな。忙しく予定をつめすぎず、無心で手を動かしてなにかを生み出すこと、人として成長するのにとても大事だなと思いました。そして、それはたぶん、子どもも一緒。

 

 

 

<野菜笛>


「火を起こし、人が集い、皆で食べたら、とりあえず暮らしは大丈夫。そこに音楽が入ってくることで、文化が生まれるよ」とテンダー。

 

というわけで、「そこにあるもんで」楽器をつくります。ニンジン&大根のスライドホイッスルに、ニンジンサックス、ちくわサックス!

 

 

実は音大出身のテンダーが、うっとりした表情で吹くニンジンde「ニューシネマパラダイス」。や、やめて・・・ うますぎて、笑いが止まらない。そこに乱入する、ごかん園長のじゃがさんと、盛り上げ隊長の山ちゃん。3人あわせて「キャロッツ」って、本当にもうやめてー!笑

 

*携帯不調で動画アップできないので、ニンジンサックスのすごさは、テンダーウェブサイトにてご覧ください: http://yohoho.jp/16511 

 

 

 

いい大人たちが、そこにあるものだけで、どれだけ楽しめるかに情熱を注ぐ姿のまぶしさといったら。じゃがさんなんて、火がつかないのが悔しすぎて、10分でランチを終えて庭に戻っていったもんね。これぞ、学びの場!笑

 

 

 

「これが正解ですよ」「一般的にこう言われていますよ」って教わること=知識の伝達スタイルの学びは、もう面白くない。だって、そういうのはなんでも、グーグル先生が教えてくれる時代なんだもん。

 

いま圧倒的に足りていないなのは、手を動かしながら考えること。セイタカアワダチソウの回転数と上からかける圧力の塩梅を自分で考えながら調整したり、一緒にやる仲間との力加減をあうんの呼吸でバランスとってみたり、お互いに作った「あるもんで楽器」で、仲間に会わせて演奏しあって笑ってみたり。

 

 

 

大人にも大事なことだけど、こういう時間をもっともっと、子どもたちと共有できるようでないといけないなあ。(でも、たとえば小学校で火を扱わせてもらうなんて、逗子ではまだまだハードルが高そう・・・涙 長い目でみて、頑張る!) 

 

ガスも電気もある世の中で、みんながテンダーみたいに生きていくことは難しい。でも、こういう時間を通して、人がどこかに置いてきてしまった知恵や想像力を回復することは、とても大切だと思います。新しい未来をつくっていくために。

 

今回、あえて講演は行わず、最初からみんなで手を動かしながらの会話の中に、テンダー哲学をこめてもらいました。それが大正解。ぎゅっと詰まったトークを聞くよりもむしろ、ちょこちょこ交す会話の中から得る知恵が多いという不思議。

 

テンダー、ありがとう!