Food culture of Tsuruoka, Yamagata is too deep to be true...
Enjoyed dinner at Slow Food chef Okuda's restaurant & Met our seed saving hero Kiyoshi Yamasawa - He's been saving and growing 600 heirloom seeds in a huge greenhouse in deep snow!!
ディープな山形に惚れました。
ご縁あって仕事で訪れましたが、打ち合わせのあと、まずは念願だったアルケッチャーノにて夕食。スローフードシェフ奥田さんの、在来野菜をふんだんに使ったイタリアン。
本当にシンプルな味付けで、素材の美味しさが際立っていました。牡蠣とルッコラのトマトパスタには唸ったし、ドルチェの塩バニラアイス+キャラメルクリームに、地元産のスパイシーなハチミツと炒り玄米が絶妙でした。
残念ながら今回奥田さんはご不在で会うことができずでしたが、代わりに奥田さんの師匠という、山澤清さんにお会いすることができました。この方が、猛烈にすごかった。
山澤さんは、600種もの在来野菜の種を巨大な温室で育て守る、オーガニックの巨匠であり、マッド・サイエンティスト。
もともと農薬・化学肥料による技術指導者だった山澤さんは、あるとき日本の農業のありかたに疑問を抱き、有機農家に転向。目指したのは、ただのオーガニックではなく「More Organic」でした。
その徹底ぶりは、ベルギーから1,300羽の食用鳩を取り寄せ、自身のハーブを餌に与え、その糞を完熟させ畑に与えるほど。
「有機肥料といって鶏糞や牛糞をつかっても、その鶏や牛には法律で定められた抗生物質、ワクチンが投与されてるでしょ。俺んとこのは大丈夫よ。鳩は "ペット" だからね。法をくぐり抜けて、健康な糞を提供してくれっから」
雪のなかの温室には、全国から集めた白菜やかぶ、ほうれんそうの原種がズラリ。セクシーにくねった唐辛子、先がまあるい庄内のネギ、葉が巻かないキャベツ。素晴らしすぎて、ため息がでます。
「なんで俺が在来の種を守るか、わかるか?」
「えぐみが嫌だ、生で野菜食べたいなんつって、どこでも改良して、必ず甘く育つ、でも1代しか育たないF1種を使うようになったでしょう。次世代に子どもを残せない野菜なんか食べて、人の身体が影響を受けないと思う?日本人はすでに、そんなのを40年も食べてきてしまった。壮大な人体実験よ」
「野菜は、虫や鳥から身を守るためにえぐみ=毒を出していたわけでしょう。人は、そのえぐみを抜くために、塩漬けしたり、茹でたりして、強い野菜を強いまま食べられるよう工夫してきたわけでしょう。強い野菜食べてたら、子どもの魂も強くなるわ。それが今じゃ、栄養もなんもない、スッカスカのを食べてね」
「料理ってね、材料の理(ことわり)って書くでしょう。でもみーんな、知らないの。理をね。俺は何でも知ってっから」
「俺んとこの野菜、見て、触って、匂いかいでみたらいいわ。匂ってみてよ。いい匂いすっから。ぜーんぶこれ、在来種」
「たいっへんだよ、そりゃあ。時間も金も労力もかかる。いないよ、俺以外に、そんなことできるヒマなひと。がーっはっは」
あまりに美しいブラックベリーのガーランドの下に、皆で輪になって座り、「これから最古のカイコさん育てっから」という話を聞きながら桑茶をいただき、植物を蒸留するのではなく、真空下で冷却抽出した「植物そのもののオイル」や、白樺蜜の化粧水で肌を潤して…
はー、なんですか、ここは。天国かっ。
御年70歳の山澤さん。お肌はつやっつや。
本当に道を極めている人の心は子どものように軽やかです。
「ここはね、誰でもいつでもきていい場所なの。なんでも聞いて。野菜のこと、なんでも知ってっから」
「俺、瓶詰工場も成功させてんの。頑張んなさいよ。なんだって応援すっから」
「いつでもまた来たらいいよ。だってほら、俺、暇なんだもーん」
山澤さんの温室は、皆の憩いの場所であり、日本一の野菜博物館でした。なのに、彼の探究心は止まりません。いま、さらに、この温室から直結の場所に、な、な、なんと・・・
アルケッチャーノの支店を建設中でございました。
きゃーーーー!!
お店がオープンする頃、絶対に再訪します!!
1泊2日の出張、案内してくださった Aya Endoさんや Takeharu Kato さんのおかげで、本当に仕事か?! というくらい楽しんできました♩
鶴岡、継承してきた歴史と文化が深くて、人が優しくて、食べ物がおいしくて… どこまでもディープ。久しぶりに「うらやましい」という心境に至りました。
*プチ山伏修行報告に続く*