ある日から姿を見せなくなった猫がいる。
人が住めなくなった土地に残され生きてきた。
厳しい大雪にも耐えて春を迎えることが出来た。
真夏の頃は、ボランティアが運ぶ「ごはん」を4人で揃って食べていた。4人はいつものメンバー、常連だった。
(写真の左から「おしゃべりハチ」「ゴエモン」「お富士さん」「サバシロ」)
「お富士さん」は、10月14日を最後に現在に至るまで姿を見せていない。それまでは、姿を見せないことは極めて稀だったので、「異変」があったと思った。一日も空けることなく訪れて、助けを求めて出て来た時に備えた。
残念ながら一か月以上が経ってしまった。
静かに余生を全うしているような容姿からは、もう老境の域だったのは間違いない。人との関わり方もわきまえていた。
(「お富士さん」と「ゴエモン」、ほれぼれする風格)
(時にはお行儀悪いことも)
(立ち食いもいいかも・・・)
(10月14日の「お富士さん」、これ以後姿なし)
「おしゃべりハチ」は、9月22日に会ったのが最後で、もう2か月も消息不明の状況だ。
餌場に車を入れると真っ先に鳴きながら飛び出してくるのが常だった。声高な鳴き声は、しゃべっている様だった。人にも猫にも恐れがなくスリゴロ、やんちゃ盛りの元気な若者と言った感じだった。
(いつもこんな顔でおしゃべりしている)
(怖いもの知らず・・・)
特に老三毛の「お富士さん」は、保護しようと決めていただけに時期を逸したことが悔やまれる。
「おしゃべりハチ」は、若いだけに「旅」をしているのかもしれない。いつかはまたここで会えるかも・・・
この二匹は気付いたが、人に知られることなく消えていく命は数知れない。給餌だけでは守れないことは、多くのボランティアが経験していることだろう。人知の及ばぬ部分もある。
しかし、手を尽くせば救えたハズ、そんな例もある。
「非力」に虚しさを感じながら、明日からも贖罪のボランティア活動の日々が続く。
<心に刺さっているトゲ、持続的に痛みを発している>
2013年10月TNRリターン前日の母と子猫4匹(母子猫西)
それ以後毎日のように「ごはん」を運んでいる。
(2013年12月の5匹揃って食事をする情景)
(2014年1月も変わらない情景)
(2月も仲良く揃って・・・)
しかし、2月が最後になった。それ以後は「茶シロ」の仔猫だけ姿を見せることは無く、現在に至っている。
心のトゲは、灰になるまで消えることはないのか