現在、執筆中の次回作がいよいよ最終局面に差し掛かり、最終章を残すだけになりました。さすがに佳境ということで、まともにブログの更新は難しいです。
 そこで、昨日の日経新聞に載っていた「大機小機」をご紹介することで、お茶を濁させて頂きます。(オンライン版には載らないと思うので)
 わたしの円高に対する立場は、基本的にこの記者さんと同じです。

2008年3月29日 日本経済新聞 大機小機「世界の金融街 東京兜町」

 東京の兜町をロンドンのシティー、ニューヨークのウォール街と並ぶ存在感のある金融センターとして育てたいと、かつて熱っぽく語られた。そう遠い昔のことではないと思うが、いつの間にか夢のような話になってお蔵入りした。
 日本はモノ作りの国として、堅固な輸出競争力を維持している。しかし、日本経済の世界における立ち位置は、日一日と沈み続けている感がある。どこかでボタンをかけ違えてしまったようだ。
 明治以降、日本は輸出を奨励し、経済成長を追及してきた。かつては海外からの借金を抱える新興国であり、円は弱く、それだけに輸出主導の経済成長に拍車が掛かった。戦後になるとソニーやホンダなど、世界に通用する製品を生み出す企業が登場した。経常収支が恒常的に黒字に転じ、1980年代後半には世界最大の対外純債権国となった。本来はこの段階で黒字を減らし、内需拡大へと舵を切るべきだった。だがそうはならず、今や黒字が重荷となって日本にのしかかる。
 黒字が累積するということは、日本から海外に資本が輸出され、その分だけ日本の経済活動や株式・不動産市場にお金が向かわないことを意味する。海外に提供されたお金は投資や消費に使われ、米国をはじめ諸外国の経済拡大に大きな役割を果たした。
 中には日本に舞い戻り、日本の株式や不動産を買い上げる資金となったケースもある。もともとは日本のお金なのだが、海外の手に渡り、日本の相場や資金配分に与えている影響は大きい。例えば、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題によって欧米の金融市場が逼迫すると、日本から即座にお金が引き上げられた。その結果、日本の株式相場や不動産価格が大きく下げている。
 処方箋は簡単である。黒字で入手したドルを売り、円を買い戻すことに尽きる。その結果、国内に購買力が戻り、円は切り上がる。そうなると、海外から日本の円資産を求める資本が流入する。さらに購買力は増し、内需が拡大して経済成長率は高まる。外需ではなく、豊かな日本の消費市場に支えられ、モノ作りにもますます磨きがかかる。
 それらを反映して、株式も不動産も値上がり基調となる。長年の夢がかない、東京兜町が世界の金融センターの一角として確かな地位を占めることになるだろう。

 一応、ホームページの方にも載せておきました。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_02.html#Nikkei2

 明日はメディア関連できちんと更新します。