さて、経済と無関係の話をもう一本(おそらく、これで最後です。)
 わたしが作品を書く切っ掛けは、色々あります。処女作の場合は、自分から書きたいと思ったものでしたが、その後は全て出版社からの依頼です。出版社のほうは商売ですので、「売れる」作品を求めてきます。これは出版がビジネスである以上、当たり前の話で、文句を言う気は全くありません。出版した本が売れないと、出版社は倒産するしかないわけで、実際に、わたしの処女作を(採図社の前に)最初に検討してくれた出版社は、既に存在していません。(本当に倒産しました)
 しかし、やはり出版社から依頼を受けて作品を書くのは、自分で思いついて書くよりも難しいです。特にわたしはビジネス本であってもストーリーを重視するので、なおさら大変です。
 二作目になった「?韓」は出版社から「こういう企画を通したので、こう書いてください」と言われ、締め切りもあったことから大変苦労しました。ただ、このときは元々インプットが豊富だった事もあり、予めプロットをしっかりと作る事で、ストーリーのあるビジネス本を何とか書き上げる事ができました。
 しかし今書いている四作目については、本当に苦労しています。
 出版社からは「中国経済の本を書いてください。中国の凄まじい格差とか、共産党官僚の無茶苦茶な腐敗とか、環境汚染とか、株式バブルとか不動産バブルとか、問題が色々とあるので、それに絡めて」と言われたのですが、こういうテーマであれば別にわたしが書かなくても、宮崎さんとか柘植さんとかが書いているし、新聞や雑誌でも問題視されるようになっています。しかも↑この方々は本職のジャーナリストで、現地取材を重ねて書いているわけで、わたしがミクロ情報で勝てるわけがありません。
 わたしには珍しく、半月ばかり悩んだ挙句、とりあえず処女作のように中国経済のマクロ面に光を当て、書けるかも知れない、とお仕事をお引き受けしました。
 しかし、最初に書きましたが、わたしはビジネス本であってもストーリーを重視します。今回の本ではそのストーリーがなかなか浮かび上がらず、本当に辛かったです。ゴールのないマラソンを走り続けるような感じでした。
 実は、ページ数で半分を書きあがっても明確なストーリーを組み立てられず、かなり焦りました。
 結局、ストーリーが固まったのは七割以上を書きあげた日の事でした。特にわたしに限らないと思いますが、人間の頭がもっとも働くのは明け方、早朝です。ある朝(午前五時ごろ)、まるで神が降りてきたように全てのストーリーが固まり、プロットが(漸く)完成しました。
 というわけで、何とか締め切りまでに原稿を書き上げられそうです。(締め切りは三月末でした)
 この「神が降りてきたような」アイデアの閃きは、処女作のときも経験しています。
 実は処女作では最終章をどうするか決めていなかったのです。あの本の最終章は、ある日、朝四時ごろに目が覚め、アイデアを思いつき一気に(一時間くらいで)書き上げたものです。(処女作の〆であり、ホームページのロゴにもある「ダイアモンドの原石は・・・」という文句を思いついたのも、このときです)
 この早朝にクリエイティブな仕事をする、というのは、意外と皆さん活用されているような気がします。
 わたしの場合、本当にこの明け方の閃きに頼る部分が多いので、可能な限り四時、五時ごろには起き出して仕事をするようにしています。
 しかし、睡眠時間が短いわけではありません。早く起きる事が出来るのは、夜に早く寝ているからです。信じられないかも知れませんが、わたしはまるで小学生のように午後九時ごろには寝てしまうのです。(某掲示板で唐突にレスが午後九時頃に切れるときは、ほぼ百%寝ています)