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 本グラフは、日経平均(N225 )、ドイツ株(GDAXI)、インド株(BSEN)、中国株(000001.SS)の四つの株価について、2008年初頭から三ヶ月間の推移をグラフ化したものです。 
 この株価の推移を頭に入れたうえで、以下の日経の記事をお読みください。

 日経新聞 2008年4月4日 景気足踏み 岐路の日本経済
「ベアーの取引を肩代わりしてもらえないか」
 米証券大手ベアー・スターンズの資金繰り不安説が流れた三月上旬、大手邦銀のニューヨーク支店に欧州系銀行からこんな打診があった。欧銀は企業融資の貸倒リスクを扱うデリバティブ(金融派生商品)契約をベアーと結んでいた。焦げ付いたときに損失を補填してもらう一種の「保険」だが、ベアーが破綻すれば契約は履行されない。慌てて別の相手を探し、不安を煽る結果になった。(中略)
 ドル安は米に輸出する企業の儲けを減らす反面、米企業の競争力を高める。そのうえ米国以外の地域のドル建ての株価が上がるので、米国の投資家や金融機関は運用益を高められる。主要通貨に対するドルの総合的な価値を示す「実効為替レート」は70前後と過去最低。一年で11%あまりドル安が進んだ。
 インドは23%、ドイツ19%、日本18%、フランス16%-各国の株式相場の年初下落率は米国の8%を大きく上回る。ファンドなどが手元資金の確保を急ぐため、ドルベースで利益の出た株を換金売りしたからだ。(後略)

 まさにごもっとも。日本は世界の投資家に見捨てられたとか、政治混乱で投資家が逃げているとか、出鱈目を散々書いていたことは置いておいて、円高でファンドの換金売りが増えたことをきちんと書いたのは評価に値します。
 でも、株価下落のグラフ(日経新聞に載っていたグラフ「世界の株安は米国以上に進んでいる」3月末時点)の中で、唯一35%くらい落ちており、世界最悪の下落率が明々白々な中国株式を、文章でスルーするのはどういうわけなのでしょう。「中国35%、インド23%(以下略)」ときちんと書かないのは、なぜでしょう?
 中国株価の下落率が日本やインドを越えていると、何か困ることでもあるのでしょうか、日経は。もしも困るなら、グラフから中国株を省いておけばいいのに。
 株価下落率トップの国を、グラフには載せて、文章でスルーするとは。世界各国のGDP規模を書くときに、アメリカを省いて「日本、ドイツ、中国の順番になっており」なんて書く莫迦はいないでしょう。
 岐路に立っているのは日本経済よりもむしろ、日本経済新聞の方です。「グローバリズム礼賛」「日本は外需依存国家なの!だから円安万歳なの!」「大中国経済様大絶賛!」なコンセプトは、現実世界との乖離が激しすぎて、もう無理なのです。
 いい加減、自覚された方がよろしいかと。