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『混迷の日本①』三橋貴明 AJER2015.1.20(7)

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 本件については、明日、取り上げます。


 昨日の続きです。


 政府の負債(いわゆる「国の借金」)が日本銀行に買い取られると、政府の実施的な負債が消滅する。これは、単純に「統計的事実」であり、個々の価値観とは何の関係もありません


 日本銀行の株式の55%は日本政府が保有しているため、日本銀行は日本政府の子会社である。日本銀行は日本円の通貨を発行し(マネタリーベースを増やす)、日本国債を買い取る。すると、政府は民間金融機関(銀行など)からお金を借りていたのが、「子会社の日本銀行」から借りる形になる。


 親会社、子会社間のお金の貸し借りは、連結決算で相殺される(これは民間も同じ)。故に、日本銀行が国債を買い取ると、政府の負債が実質的に消滅する。


 これは単なる「事実」であり、解釈のしようがない統計上の現実です。


 上記を理解した上で、それでも財政破綻シンドロームが完治しない人は、すぐに、
「日銀が国債を買い取ることは、法律で禁止されている」
 と、意味不明な反論をしてきます。確かに、財政法第五条には、
「第五条  すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。 」
 とあります。すなわち、日本銀行の「直接引き受け」は、特別の事由があり、国会の議決を経た場合しかできないことになっています。


 が、、、、、、そもそもわたくしは別に「日銀が政府から直接国債を買い取ると、政府の負債が実質的に消える」などとは、一言も言っていません。「民間の銀行から日銀が国債を買い取ると、政府の実質的な負債が消える」と言っているわけで、財政法第五条とは関係がない話です。


 それ以前に、現在は黒田日銀が猛烈な勢いで銀行から国債を買い取り(通貨を発行し)、政府の実質的な負債は「現実として」減り続けています。すなわち、国債が100%日本円建ての日本国が財政破綻する可能性は、ゼロなのです。


 というわけで、
「自国通貨建ての国債で財政破綻することはあり得ない」
 ことをようやく納得した「患者」が、最後にすがっりつくのが、
はいぱ~いんふれ~しょんが~
 というわけでございます。


 ハイパーインフレーションの定義は年のインフレ率13000%だぞ、頭ダイジョブか? という嫌味は置いておいて、まずは「インフレ率」とは何か、真剣に考えてみてください。インフレ率とは、社会に出回ったお金の量の変動率ではありません


国民が働き、モノやサービスという付加価値を生み出した、その価格の変動
 が、インフレ率になります。すなわち、国民が働いて生み出した付加価値ではない商品(土地、株式、為替、国債など)の値段が上下しようとも、インフレ率には直接的には何の影響も与えないのです。


「いや、日銀が国債を買い取り、マネタリーベースを拡大すれば、日本はハイパーインフレーションになるはずだ!」
 などと思われた方に、最近のわたくしが最も戦慄したグラフをご紹介。


【スイスのマネタリーベース(左軸)とインフレ率(右軸、単位:対前年比%)の推移】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_49.html#Swis


 最近まで、対ユーロで「1ユーロ=1.2スイスフラン」を維持するために為替介入、しかも、
「スイス国立銀行(中央銀行)がスイス・フランを発行し、ユーロを購入する為替介入を実施し、発行したスイス・フランをそのまま放置する」
 いわゆる非不胎化介入を継続し、マネタリーベースを「五倍以上」に拡大したスイスの物価上昇率は、直近(14年11月)のデータで「ゼロ」です。何しろ、中央銀行がそれまでの「五倍」のお金を発行したのです。インフレ率は13000%とまではいかずとも、二桁、三桁に達していないとおかしいと、財政破綻シンドロームの患者さんは首をひねるのではないですか。


 落ち着いて、考えてみてください。インフレ率とは、「モノやサービスという付加価値の価格」の変動率です。


 中央銀行がどれだけ国債を買い取り(スイス国立銀行はユーロを買っていましたが)、マネタリーベースを拡大したところで、その時点では物価に何の影響も与えません。例えば、日本政府が日銀のお金を発行(例えば70兆円)、それを全て「モノやサービスの購入」として使えば、インフレ率は間違いなく上がります。さすがに70兆円の「政府のモノやサービスの購入(=需要)」が増えれば、日本経済はデフレギャップからインフレギャップに移行し、
「モノやサービスの需要に対し、生産が追い付かない。結果、物価が上がる」
 という局面に入るでしょう。


【インフレギャップとデフレギャップ】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_46.html#Gap


 とはいえ、中央銀行が国債を買い取り、マネタリーベース、マネーストックが拡大したとしても、お金が「モノやサービスの購入」に回らず、ひたすら株式市場、為替市場、土地取引、先物取引に投じられてしまうと、インフレ率はほとんど影響を受けないのです。何しろ、株式も為替も土地も先物も、国民が労働することで生産した付加価値(モノ・サービス)ではないのです。


 無論、株価上昇や土地上昇が資産効果を発揮し、モノやサービスが買われた結果、インフレ率が上昇するという「間接効果」はあります。とはいえ、資産効果ならぬ「間接効果」がいくらなのか、この世の誰にも分かりません。


 いずれにせよ、中央銀行がお金を発行したとしても、モノやサービスが購入され、総需要が供給能力を上回るインフレギャップ状態にならない限り、継続的なインフレにはなりようがないのです。インフレになったとしても、13000%というハイパーインフレーションの定義を達成するためには、いったいどこまでインフレギャップを拡大すればいいのでしょうか。


 率直に書きますが、日本が世界を相手に核戦争を繰り広げ、国中の生産設備、流通網を破壊されない限り、ハイパーインフレになるのは無理です。


 要は、ハイパーインフレと口にする論者は、
「インフレ率はお金の量で決まる」
 と、間違った理解をしているのです。最終的なインフレ率はお金の量ではなく、「インフレギャップの規模」で決まります。お金など、単なる物差しに過ぎません。


 そして、現在の日本はインフレギャップどころか、デフレギャップ(直近の内閣府の試算で14兆円)の状態にあるのです。


「でも。。。インフレ率が高いことは、物価が上がっていくことだから、良くないことでは」
 と、思われた方は、是非とも「週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~」の最新号「週刊三橋貴明 Vol298 所得と生産性」をお読みくださいませ。
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
 成長のために必要な「追いかけっこ」の重要性が分かります。
 
 さて、いかがでしたでしょうか。財政破綻シンドロームは、冗談でも何でもなく日本国を滅ぼしかねない疾病です。皆さんの周りに患者さんがいたら(絶対にいるでしょうが)、昨日と本日のエントリーを巧く活用し、治療して差し上げて下さいね。


 明日のタイトルは、もちろん「権力による言論封殺には屈しません」。


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