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チャンネルAJER更新しました。

「欧州の農業はなぜ発展したのか。欧州の顛末」(前半)三橋貴明 AJER2024.2.6<br>

  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「やまと経営者連盟 代表理事 古賀真氏」が加わって下さいました。

 

財務省様が国の借金プロパガンダを更新されたので、チェックしてみました。[三橋TV第825回] 三橋貴明・高家望愛


https://youtu.be/aHJkyG9-SFY
 

 日本の食料安全保障強化に反対する人は(まず)いないと思いますが、農業に限らず、安全保障強化とは、
「特定の産業について政府の政策でデフレギャップ化する」
 政策になります。

【インフレギャップとデフレギャップ】


http://mtdata.jp/data_43.html#GAP

 例えば、「赤字の公立病院を潰せ」といった発想で、日本は公立病院や保健所の統廃合を続けてきました。結果、コロナ禍になった途端に大パニック。 


 そもそも安全保障とは「儲からない」のです。理由は「非常事態に備える」ことこそが安全保障であるためです。平時には、供給能力が過大(デフレギャップ)になり、赤字になる。
 

 だからこそ、政府がやらなければならないわけですが、日本は非常時に備える供給能力の余剰に対して「ムダ」とレッテル貼りし、潰してきた。結果、安全保障がどんどん弱体化していった。


 コロナ禍の公立病院もそうですが、電力サービスもひどい。電力サービスを「ビジネス化」したことにより、発電会社(東京電力HDなど)は余剰の供給能力を削減し(火力発電所の閉鎖)、2022年3月22日の「322危機」を引き起こした。


 農業についても、コメ価を維持するために、政府の買取ではなく「減反政策」を進め、結果的に食料安全保障が危機に瀕している。


 コメの過剰生産は、食料安全保障という観点から「素晴らしい」となるのですが、コメ価が下落するのは困る。ならば、日本政府も「アメリカ政府同様に」生産者価格(再生産可能な目標価格)を保障すればいいものを、カネは出したくない。だからこそ、食料安全保障を弱体化させる減反政策を続けた来た。


 減反政策は2018年に一応、終わりましたが、コメの需要減もあり、コメ価の引き上げはなされていない。コメ農家を維持、発展させるためには、政府の財政政策(価格保障か、農家に対する所得補償)が必要なのです。
 

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皇統論第六十一回「祇園精舎の鐘の声」、歴史時事第六十一回「三帝会戦」が配信になりました。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
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農業基本法と食料安保 担い手育てる政策急ぐ時
 気候変動やウクライナ危機で、食料の安定供給の確保が世界的な課題となっている。国内の生産基盤を強化しなければならない。
 農政の基本方針を定める食料・農業・農村基本法が25年ぶりに見直される。食料安全保障を新たな柱に位置付け、供給不安が生じる事態への備えを拡充する。
 例えば海外の紛争などで穀物の輸入が滞るような緊急時に、政府が農家に増産を指示する仕組みを整備する。新法を含む関連法案が今国会に提出される。
 だが、担い手や農地を確保できなければ掛け声倒れに終わる。(後略)』

 今回の農業基本法改正では、食糧安保の具体策として「輸出促進」が盛り込まれますが、前にも書きましたが、
「トマトやキュウリやモモやスイカを輸出したところで、食料安全保障は強化されない」
 のですよ。食料安全保障強化というならば、「穀物の輸出」を激増させることが必要ですが、
1.価格の問題(グローバルな穀物価格が安すぎる)
2.アメリカの食料戦略との衝突
 という二つの理由から、実現できるとはとても思えない。(やれるならば、是非やって欲しいですが)


 さらに、
「輸入相手国の多角化や輸入相手国への投資の促進など、輸入の安定確保について新たに位置付け」
 は、そもそも「シーレーン途絶」などの理由で輸入ができない非常事態に備えるのが安全保障でしょうに・・・。


 また、毎日の記事にもありますが、非常事態の際に農家に「増産せよ」と指示したところで、肝心要の供給能力がないのでは、まさに掛け声倒れです。平時に供給能力の余剰がない以上、非常時の増産などできるはずがないのです。


 毎日の記事が面白いのは、全体的にそれっぽく、別に否定したいわけではないのですが、最も重要な「政府の財政支出」については一切触れていないところです。農業が「儲かる」あるいは「所得が安定的に伸びる産業」にならない限り、担い手が増えるはずがありません。


 欧州は、農家の所得を補償すること、アメリカは生産者価格を保障することで、食料安全保障を実現している。
 

 この「現実」を理解しない限り、我が国の食料安全保障が強化される日は永遠に訪れないと確信しています。 

 

「食料安全保障強化には政府の財政支出が必須だ」に、ご賛同下さる方は、

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