なんば広場にみる維新の会の大阪府政・市政の失敗〜ミナミの魅力が失われ、広場は自転車事故の危険も | 作家・土居豊の批評 その他の文章

なんば広場にみる維新の会の大阪府政・市政の失敗〜ミナミの魅力が失われ、広場は自転車事故の危険も

なんば広場の例にみる、維新の会の大阪府政・市政の失敗〜 せっかくのミナミの魅力が失われ、広場は自転車事故の危険も

 

 

何かと話題のなんば広場、さっそく偵察してきた。

だが、やはりこの空間は大きな失敗だ。

せっかくのミナミの魅力が失われ、広場では自転車事故の危険も大きい。

 

例えば、

この写真の状況のあと自転車が数台、広場をかなりのスピードで斜め横断した。

 

 

早急に柵か何か設置しないと重大事故が起きる。

みんな写真撮ったりして周囲に気がついてない。車椅子や白杖の人には極めて危険。乳幼児も危ない。

そもそも、ここは自転車は侵入禁止ではないのだろうか? しかしこの位置関係では、間違いなく自転車は斜め横断したくなる。なぜならこれまでタクシーのロータリーだった場所が、広場になって自転車はショートカットできるのだ。まるでこの広場は、自転車の近道のためにわざわざ作ったようなものだ。

維新の会の政治家たちや大阪市役所、警察、誰も想像しなかったのか?

これまで歩道をぐるっと回らなければ御堂筋側から商店街やなんば駅まで行けなかったのが、広場になれば自転車はショートカットしたくなる。

自転車だけでなくこのままではキックボードも侵入しかねない。

この大金かけた広場に、自転車やキックボードが侵入しないようにするには、歩道との間にフェンスを作るか、車両が走れないように柵を細かく設けるか、あるいは走行しにくい段差や凸凹を作るか?

いずれにせよ、想定したような?歩行者天国の広場にはなりにくい。危険だからだ。

位置を考えれば、以上のことは容易に想像できたはずだ。

 

 

 

 

 

自転車にとって、御堂筋から歩道を通ってなんば駅ビルか丸井の側をぐるっと回らないと、商店街や千日前、日本橋方面へ突っ切れなかったところに、巨大な斜め横断空間ができたのだ。それは近道に斜めに突っ切りたくなるだろう。

つまりこの場所は本来、御堂筋と日本橋側をつなぐための駅前ロータリーだったのだから、そこを広場にしてもよほど厳重に仕切りを作らないと、自転車などは近道したくなるという構造になっているのだ。

 

 

だがせっかくの広場に、厳重な仕切りを作ると自由な歩行者天国にはならない。それは本末転倒だ。

つまりは、この大金かけた広場は、失敗作だということだ。

 

かつてのなんば駅前の空間は、長年、地元の商売人たちが工夫を重ねて、魅力的な空間になっていた。

 

 

 

 

 

これらの道頓堀や戎橋商店街が、ミナミの歓楽街の中心地であり、なんば駅前からの導線は、以下のように駅前ロータリーをはさんで、多方向に向けてつながっていた。

 

 

 

導線としては、まず最初に大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)のなんば駅から、地下を通ってミナミの各所へつながる、地下街の広大な広がりがある。

 

 

 

 

もう一つは、南海なんば駅を出て、地上から各所へ向かう導線がある。

 

 

昔は、南海駅前のこの吹き抜け空間に、巨大なロケットが飾ってあり、通称「ロケット広場」といって、待ち合わせの名所だった。

今はただの吹き抜けになってしまったが、それでも、なんば駅を見晴かす気持ちのいい空間を形成している。

 

 

 

 

かつては、なんば駅から一階を歩いてすぐ、タクシー乗り場があった。現状、広場になってしまったため、タクシーを拾いたい人はかなり遠くまで歩く羽目になる。

また、南海なんば駅は、道頓堀に通じる高島屋がわだけでなく、中央口から直結のショッピングモールも、大きなホテルもある。こちら側の整備は、関西空港への玄関口としての再開発から生まれた、なんば駅のもう一つの顔だ。

 

 

 

元々は、大阪球場が南海電車に密接して建っていたのだが、その跡地に、球場あとの再利用としてはおそらく初の「なんばパークス」という複合施設ができた。このショッピングモールは、外側が階段上の公園になっており、名前の通り、都会のオアシス的な公園として季節の植物の彩りが楽しめる。

 

もう一方の、3つ目のなんばの顔は、こちらの日本橋がわの方面にある、「オタロード」だ。

実際のところ、インバウンドの観光客の多くは、このオタロード目当てで買い物にきていると推定される。アニメ・ゲーム・マンガなどサブカルの様々な店がひしめくこの一角は、日本で今、唯一無二といっていい海外向けの売りであるサブカル商品の集積地として、東京の秋葉原や池袋、中野と並んで、西のオタグッズ聖地なのだ。

 

 

 

 

さらに、大阪ミナミの難波という巨大な地域には、もう一つの玄関口もある。JR難波駅の方面だ。

こちらも、関西国際空港への玄関口として再開発されてきた地域で、JR駅の周辺には、道頓堀と直接つながる水路の周囲に、歓楽街が栄えている。

 

 

 

 

このように、多面的な繁栄ぶりを形成してきた大阪難波の巨大な空間には、御堂筋の一角にある「なんば広場」など、屋上屋をかすぐらいの意味しかないと言える。

それどころか、最初に述べたように、広場が自転車の近道に利用されることで、重大事故の可能性が非常に高まった。それどころか、もしあの広場のニュースを見て、暴走族があそこでひと暴れしようと思いついたら、なかなかに大変なことになるだろう。

以下の図のように、元々が駅前ロータリーであるなんば広場は、御堂筋側と日本橋側を接続しているため、バイクや車で容易に侵入でき、逃げるのも簡単だ。

 

 

願わくば、大阪の暴走族たちが騒ぎを起こすに格好のこの場所を、気づかないでいてほしいものだが、おそらく無理だろう。