お久しぶりです。先日ブログでも、外来でも同じ質問をうけました。
『B型肝炎ワクチンって接種したほうがよいですか?』
今の僕の答えは
『絶対、接種したほうがよいですよ。』
詳しい先生方の講演会などで勉強して、【絶対】を追加しました。
<1992年にWHOがすべての出生時にB型肝炎ワクチン接種を推奨している>
<つまり世界で接種が推奨されている:全人口の約75%は接種している>
<日本でB型肝炎が原因の肝硬変変や肝がんの死亡者は子宮頸がんの2倍>
<任意接種(お金かかる)だけど、日本小児科学会でも推奨されている>
という理由で
納得の方はここまで読んで、是非接種を検討してください。
もし、ここまで読んで、まあ針刺しや性交渉での感染は
自分や自分の家族には関係ないし、お金もかかるし、
予防接種するほどでもないなと思った方は是非読んでみてください。
僕の答えの理由は
①今ブログを読んでいる大多数の方々や家族だれもが
B型肝炎ウイルスに感染するリスクがある。特に子どもはリスク大。
②現在、B型肝炎に感染している方への差別への解決策。
次に解説です(長文になります)。
まず①だれでも感染する可能性あるという点についてです。
B型肝炎ウイルスの感染はどうやっておこるのでしょうか?
一番多かったのは垂直感染といわれる、妊娠した母親がB型肝炎に感染していて
出産した児にB型肝炎ウイルスが感染するパターンです。
だけど、この感染に対して、日本は世界に先駆けてワクチンによる予防を
開始したので、この予防は世界全体と比べて明らかに劣ってはいないと思います。
それ以外で【感染する可能性があること(必ず感染するわけではないです)】
で皆さんも知っているかもしれないものが
●針刺し(感染した人の血液がついた針を誤って刺す→医療従事者に関係する)
このため、僕ら医療従事者は定期的に抗体を検査して
必要があればB型肝炎ワクチンを接種しています。
●輸血(現在の輸血製剤は、しっかりブロックされているので、ほぼありえない)
●性交渉(この場合は性感染症でありHIVでも同じことがいえます)
これだけだと、関係ないやと考えても、しかたないかも。
ここからは知らない方もいるかも
●B型肝炎ウイルスに持続感染している父親から児への感染
(妊娠中にB型肝炎ウイルス検査を行う母親と違い
父親は感染に気づいていない場合もあります。)
持続感染というのは症状はでていないけど、ずーと感染している状態であり
キャリアとよばれる患者さんです。
これは濃厚接触が関係しているのでしょう。
つまり、唾液、汗、涙などの体液にもB型肝炎ウイルスがいることが
証明されており、濃厚接触(かみつきも)は感染のリスクとなります。
●B型肝炎ウイルス感染者との皮膚が接触するようなスポーツや格闘技
(ケガがあれば、さらにリスク高くなる)
そして、母親・父親として注目してしまうのは
●保育園内でB型肝炎ウイルスに持続感染している(キャリア)児からの感染
3歳未満の児はこの持続感染の状態になりやすいといわれています。
しかも症状がないので、感染しているか分からない&感染源にもなってしまいます。
ちなみにキャリアは子どもだけでなく
大人でB型肝炎ウイルスに感染してもなることがあります。
以前は大人は急性肝炎という一時的に肝機能が悪い状態になるけど
キャリアにはなりにくいというのが常識だったのですが
日本に流行しているB型肝炎ウイルスの遺伝子型の変化によって
現在は大人でもキャリアになる場合は増えています。
また急性肝炎になったあとに回復して血液検査では治ったようにみえても
実は肝臓にウイルスが潜んでいて抗がん剤などの免疫抑制状態で
B型肝炎ウイルスが再び活性化して感染源になってしまう場合があります。
このようなパターンで祖父→孫→父親に感染が確認されたという報告もあるのです。
ここで終わると、B型肝炎ウイルスに感染している患者さんへの差別が発生するでしょう。
ここまで読んだ方は必ず最後まで読んでくださいね。
つまり、感染している場合は保育園、学校で区別したり、入園などを断るなどの
差別がおきてしまうかもしれません。
自分の子どもには接触させないようにという気持ちがでてしまうのかもしれませんが。
このような差別をおこさないために簡単な方法は、みんなが当たり前のように
B型肝炎ワクチンの接種をうけて予防しておくことです(これが世界のスタンダード)。
誰が感染しているかなんて症状がなくて検査もしなければ、
なかなか分からないものですが、しっかり予防していれば差別もおきないでしょう。
最後にB型肝炎ワクチンは重篤な副反応はなく、
世界で最も安全なワクチンのひとつといわれています。
いやあ、こうなると絶対接種って言いたくなりますよね
って僕だけだったらスミマセン。