久しぶりに田口ランディさんのblogを読み、
雨で乾かない洗濯物にアイロンを当てながら
息子を産んだ助産院の、産婆さんの事を思い出していた。
産むならできるだけ、昔ながらの自然に近い形で産みたい。
高知でそういうお産ができる場所を探して、
電話帳に載っていた助産院に片っ端から電話をかけてみた。
母乳マッサージはやっていても、
お産を請け負ってくれるところはなかなかない中
「どうぞおいでください」
と、穏やかで優しい口調で応えてくださった。
助産院をたずねてみると、玄関先で数匹の猫たちと共に
小柄で可愛らしいおばあちゃんが、迎え入れてくれた。
健康状態などひととおりお話しして、
「できれば病院ではなく助産院で産みたい」
という意志を伝えると
「大丈夫、いいお産ができます」
と、ニコニコしながら太鼓判を押してくれた。
そのおばあちゃんの言葉に、わたしは心の底から安堵した。
産婆さんは、その当時97歳。
だけど何の不安もなく、
『このおばあちゃんのところで産みたい』
と心に決めた。
出産は産婆さんと、産婆さんのお孫さんと、
もうひとり助産師さんがサポートしてくれた。
息子が生まれた瞬間、
「これやきお産は辞めれん♪」
と言った産婆さんの、キラキラした様子が忘れられない。
産後も一週間ほどお世話になり、食事から洗濯まで至れり尽くせり。
ほんとのおばあちゃん家で出産したかのような、温かさに包まれていた。
お産を請け負う数は徐々に減らしながらも
102歳で旅立たれるまで、生涯現役でいらした。
成長した息子と共にお葬式に行き、お顔を見せてもらった。
その瞬間、
「ありがとう。ありがとう」
と涙があふれた。
毎日の洗濯物を、産婆さん自らわたしのTシャツや下着、息子の布おむつにいたるまで
全てにアイロンがけしてくれていた。
本来Tシャツや下着や布おむつに、アイロンがけは必要ないと思うんだけど。。
それでもそういう物たちに、毎日丁寧にアイロンをかけている姿は本当に
祈りにも似た、慈しみあふれる姿だったように思う。
田口ランディ🍀祈りについて
https://runday.exblog.jp/17156489/