『愚者は経験に学び、


賢者は歴史に学ぶ』






って、そんなこと言われてもわからないよ。


こっちは全部初めてのことなんだよ。


賢者のみなさんでよろしくやっていくれよ。







目の前に続く暗闇は、


やがて羽化するための準備期間。


幾多の経験も感情もすべて吸収して、


やがて懐かしさへと昇華していく。







今を生きているようで未来の逆算で動いている。


すべてのことは終わりを迎えると知っているから。


  




見返すとか、そういう類の動機は好きじゃない。


自分は蝶になりたい。


ただそれだけ。








【蛹】



今が全てなんだって

明日は我が身だって

盥回しの現実が

そんなの知らないって

もう疲れたんだって

目の前で手を伸ばしてる


数年後にこの地に降り立つあなたに

借りてるこの世界

その開かれた瞳に一体何を映すの?

いつかの僕らが生きた今日達も


平安の習わしと同じように

繰り返し繰り返し

古き良き時代と呼ばれる日が来るのだろうか。


そして季節は流れていく

憧れはそのままに

涙は勇気と優しさに

痛みは心強さに

悲しみは懐かしさに

暗闇の中で踠いてる




奪えど奪えど足りることはない

拍車のかかった欲望がひとつ

分け与えてみれば不思議と増えてく

心に寄り添う希望がひとつ


傷だらけの掌で未来を掴み取るその日まで

どれだけ強く信じ抜けるかを試されている


だから遠く離れていても

明日が見えなくても

諦めることはないから

やがて終わりが来るんだから

何も怖くないから

信じてくれていいんだよ

いつか羽化して蝶になったら

笑顔で歌おうよ

そんな未来を待ってる

羽ばたく青空を夢見てる