3/1に開催した名古屋LGBT成人式、たくさんの方のご協力もあり、173名の方にご参加いただきました。
今回は、新成人を代表してお話ししてくださった恒川さんの新成人の辞の全文を掲載します。
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新成人を代表して、誓いの言葉を申し上げます。
本日、私の生まれ育った名古屋で、LGBT成人式が初めて開催されたこと、そしてその記念すべき年に、新成人としてこの場に立てることを大変嬉しく感じております。式を開催してくださった方々やボランティアの方々、そしてご出席いただきました皆様に心より感謝申し上げます。
実はこの会場は、私が中学時代を過ごした大切な場所でもあります。私がこの学校を去ったとき、こうして胸を張って話をすることのできる日がこんなに早く来るとは夢にも思っていませんでした。とても感慨深く感じています。
正直に言うと、今まで中学時代の記憶は私にとって消したい、なかったことにしたい記憶でした。男性として生きようと歩みだした私にとって、中学時代に女性として振る舞おうとしていたことは相反するものだったからです。
20歳という節目を迎え、これまで生きてきた道のりを振り返り、自分自身を見つめなおしました。そうして改めて考えると、生きてきた全ての時間が、今の自分に深く影響しているということに気が付きました。自分のあるべき姿とは何なのか、目には決して見えない答えを見つけようと、必死でもがいた中学時代の自分がいたからこそ、今の自分がいる。そのことに気が付くと、当時の記憶をむしろ大切にしなければいけないと思うようになりました。
男性として大学生活を送っている今の自分も、女性として生きようとしていた過去の自分も、男性らしさや女性らしさにこだわらずに生きたいと思っている自分も、全て受け入れよう。そして自分で自分のことをもっと愛したいと、今は考えています。
こう考えられるようになったのは、自分のしたいことや考えを、受け入れて見守ってくれる親や、ぶつかりながらも、決して見放さずにそばにいてくれる恋人、性別関係なく接してくれる友人など、多くの周りの人の支えがあったからだと思います。関わってくださったすべての方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。
さて、セクシュアル・マイノリティをめぐる社会の動きは日に日に加速しているように感じます。新聞やテレビなどで目にする機会も確実に多くなっています。
このように社会が変化してきたり、少しずつ自分らしく生きられる人が増えてきたりしているのは、少しでも生きやすい社会を目指し、差別や偏見に負けずに行動し続けた先人の方々がいたからです。その方々に深い感謝の念を述べると同時に、その上でこれから私には何ができるのだろうかということを考えている毎日です。
現在、私は大学で社会福祉を学んでいます。大学での学びを通して、セクシュアル・マイノリティだけではなく、どんな枠組みで捉えても必ず存在する少数者、つまりマイノリティの人権をどうすれば守ることができるのかということに関心を持つようになりました。
卒業後も、多様な人々が受け入れられる社会をつくるために、社会のあり方に関する研究を続けていきたいと考えています。
私は、セクシュアル・マイノリティであることをただのハンデにはしたくありません。こうして生まれたのには、何か意味があると信じることにしています。
そもそも、セクシュアリティに関することだけではなく、振り返れば小さいころから人と同じようにすることが苦手な子でした。皆ができることは、なかなかできなかった。けれど、皆ができないことはなぜかできたりする子どもでした。
この先もさまざまなことに悩んだり、ぶつかったりすると思います。ですが、自分にしかない視点や自分だけが持っている感性を信じて、成人として胸を張って生きていきたいです。
そして、私を含むこの会場にいる全ての人が自分自身を受け入れ、愛することができる社会を願って、新成人の誓いとさせていただきます。わ