ケリケラータなレプタイルズ!

ケリケラータなレプタイルズ!

爬虫類、両生類、鋏角類(蜘蛛とか)を中心に観察記録をやっていきます。

自分の飼ってる子達の実態メモも私の勉強の記録、そして当時の考えや感想を残すところでございます。

至らぬ所も多々あるかと思いますが、大目に見てやってください(^_^;)

未熟者ではございますが、厚かましながら蜘蛛のブリーディングローンなど積極的に行っていきたいと思います。♂貸し借りの相談などお気軽にください。コメ欄でも通知来たら対応します。

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皆様どうも、こんにちは。

時給108円……ではなくなり手取10万円です。
社会人になりましたのでね、仕様変更です。


もう何年か更新してなかったですかね?
体感ではそのくらい経っております。
まぁ語れるような事が無かったからでありますが、今回はマトモな話がありますので持ってきた次第であります。

ようやくといいますかなんと言いますか、やっとこさタランチュラの繁殖に漕ぎ着くことが出来まして、昨日大阪Awakeなるイベントにて我が子達を世に旅立たせることができました。
というわけでそこに至るまでのデータをここに記しておきたいと思います。

タランチュラの繁殖は正直運だ、と皆様口にされますし僕もそうだと思います。
とはいえ一応こんな感じでも行けましたよっていう参考程度にね。

いやはや、ようやくこーゆーサイトに書くべきこと書ける感じですよ、ええ。




事は去年の夏に遡ります。

もう今時、蜘蛛界隈では知人とのブリーディングローンは珍しいことではなくなっていますね。
私の狭いTLでもちょいちょいそういったやり取りを見かけます。まぁ大体皆さんウラですけど。
俺も仲間に入れてくれよ〜


そんなある時、珍しく私にもチャンスが回ってきました。
それが去年の夏。フォロワーさんが手塩をかけて育てた子が我が家にやってきたわけです。

それが今回の主役。



フォロワーさんのお宅からやってきたお婿。


Tapinauchenius violaceus

パープルツリーと呼ばれる小型の樹上性タランチュラです。

この種の紹介自体は以前にしたことがありますかね。この属のテーマがあったんでそうだと思います(適当)

ちなみに、この時♀はなんと1歳になってさらにほんの数ヶ月たった程度の年齢でした。
非常に良いタイミングで脱皮していたのですが、それでも気持ち大きくなった気がする程度には伸びていました。
未成熟の可能性もままありました。
というかその旨をローン元の方に断った上でやり取りをしておりました。


7月頭の猛暑の中やってきた彼を少し落ち着かせている間に、♀にはたんまりと餌を食わせておきます。
特にお互いリアクションはありませんでしたが、この期間雌雄のケースは隣り合わせです。
タッピングの音1つ聞こえてきませんでしたし、広いところにいる♀も気にかける様子ナシ。


さて7月も後半に差し掛かった頃、ついに初逢瀬です。
そっと♀のケージの蓋を押し開け、小さいカップに納めていた♂を解き放ちます。

如何せん高速移動積んでる蜘蛛なので、海外の動画とかでよく見るようなクッソオープンな状態では出来ません。
引越しする時のように安全性重視で移しました。

でもって、引越しする時と同様に♂が暴れる。
♀のケージ内をガーッと走り回って♀を困惑させる始末。

今まで私はバードイーターの交接しかさせたこと無かったのですが、彼らのような察し力は全くありません。
バードイーターの面々はどういう訳か、♀のケージに移そうとした時かなり露骨に硬直するんですよね。
そっとつつき続けるとようやく、覚悟を決めたと言わんばかりにゆっくり入場するのです。
つついてくる棒から逃げるという感じが突然どっか行くんですよね。
そしたら後は地べたでぼけーっとしてる♀の所に本能に刻まれた手順で近づいていくわけです。

よく出来たもんだなぁと感心するんですが、如何せんウチに来てくれた♂は皆異様に挿すのが下手で、結局孵化まで漕ぎ着けたものは居ないのですけどね。悲しいかな。


話を戻してビオラセウス。
この種はどうかといえば、まるで♀の存在にも気がついていないかのような暴れよう。完全に逃げの姿勢。

まー少ししたらやる事やるやろと思って見てましたが、全く音沙汰なし。
ちょっとそわそわしている♀が気の毒になるほど、♂はただ私という外敵に怯えておりました。

これを7月中に2度。
正直言って話になりませぬ。ここまでやる気のないペアは初めてでした。
2度目に至っては♀もキレ気味。というかやる気のない♂をあまり同種とみなしていなさそうでした。

こりゃー参ったということで、ホントは交接を確認してから取りたかった手段に出ます。
雌雄の一晩同棲です。

前述の通りバードイーター勢も肝心のトコロが下手という経験をしてましたので度々やってたんですが、本来暗い状態でやってることでしょうから本人達に落ち着いてもらおうという魂胆です。
特に今回は♂があまりにビビりを優先するので、こうでないと話にならんやろと判断しました。

これやるとまーまー♂が喰われるので、ホントはちゃんと交接見た上での追い討ちでやるものと個人的には考えていたのですが。

一か八かで♂を♀のケージに放ち、蓋を閉めて電気を消す。
あと私は寝るだけです。



翌朝、

♀は何かを咥えていました。

繁殖、失敗です。
一晩で肉塊となって♂は散ってしまいました。

ローンしてくださった方に「多分ダメです。せっかくローンしてくださったのに申し訳ない…」と一報を入れ、頭の中では失敗と処理しました。
文字通りのワンチャンはありますが、文字通り過ぎて期待などするヨシもありませんでした。
交接を1発でキメる子が居るともあまり思っていませんでしたし(バードイーター達をみながら)


そして丸ひと月の時が流れました。

その間ぶくぶくと太っていく♀にちょびっと期待しながら、温室棚(今の管理はエアコンですが)の奥の方にケージを押し込みます。
上の階からの影に入り、うちの動物スペースでは暗い場所です。
ホントは世話の頻度が高い未成熟っ子達のケージを前出ししただけです。これは産むと思った時には黒い布被せます。

まぁ割と本気で産むんじゃないかと思いながら、8月のメンテを終えました。
想像妊娠みたいな感じで、交接させると掛かってなくても無精卵産んだって話はよくありますしね。うちのエミリアも多分それ。




で、9/10日。
何気なくメンテのために引っ張り出したら咥えてました。

「産んどるやんけぇぇぇえ!!?」

と馬鹿みたいに叫んだ後、迂闊な行動に後悔。
乱雑にケージをガタガタ揺らしながら引っ張り出したのです。
こんなストレス加えてしまおうものなら、卵喰われる可能性は爆上がりです。
超神経質にやってても過去食卵されまくってますので、もうこうなったら奪うしかありません。
責任は取るとかなんとかほざきながら、必死で卵を守ろうとする♀から無理矢理卵嚢を没収しました。

実は成体のメンテはサボり気味で、彼女の世話したのは2週間ぶり。(餌食わせすぎてもアレやし、毎週のようにすることと言えば基本水やりのみ。おまけに時期的にそう簡単には乾きません)
卵嚢は抱えて1週間程は経っている可能性がありました。



産んですぐやろと思っていた私は、それから毎朝晩、卵嚢をこねくり回しました。
卵嚢の管理?ネットで調べりゃ出てくるセットそのまんまの奴をエアコンかけた部屋の温度変化弱めの場所に置いとくだけです。そのくらいしかしてませんでした。
まぁ、無精卵だと思ってたからね………

ちなみに卵転がすのは圧力を均等に説、内部の卵同士がくっつくのを防ぐ説などあります。

私は後者を聞いてなるほどぉ!と思っていたので、産んですぐやと思っていた卵嚢をまぁまぁ乱暴に、わざと中身がよくほぐれるように転卵してました。



えぇ……

これ開いたの9月下旬入りだした頃。
卵奪ってから10日とちょっと。

実はこの蜘蛛ですね、抱卵期間短いんですよ。
ネットで調べたら1ヶ月で出嚢するって。
そういや過去の事例調べてなかったやって仕事帰りに検索したその足で帰宅し次第開けましたよ。
有精卵かどうかは分かるやろと思ってね。

何重にも重ねられた分厚い卵嚢の膜を丁寧丁寧丁寧に1部分だけ切り取っていきます。
これがなかなか大変。

よし、ちっこい穴が空いた。なんとか中覗き込んでやるぜ、そう思った時でした。

中からよたよたと何か出てきたではありませんか。
薄ピンク色の小さな赤ん坊でした。
1匹目に続いて、中からはゾロゾロと兄弟達が出てきます。
親が開けてくれたと勘違いしたのか、真っ暗な風呂敷にぽっかりと空いた明るい穴へ向かって、よちよちと子供達は懸命に這い出てきたのです。

正の走光性なんかは持ってないと思いますが、呆気に取られる私の前に子グモ達はどんどん出てきてくれるわけです。
よく出来たもんだなぁ、と改めて思います。
天井が空いた卵嚢と兄弟達に身を寄せ合うように、出てきた子供達は団子になりました。

卵嚢を確認して1ヶ月もしていない間に、もう歩けるようになって親の開嚢を待っていたのです。

あの……今朝まで乱暴にこねくり回してごめんなさい……




受精率悪。マドイの初齢達。

恐らく一度しか交接出来てないと思いますし、♀もこの後の脱皮で普通に成長する若さだったこともあってか受精率悪かったです。

約50%、2齢に上がれた子は50匹程度(3匹くらいこのまま死亡)でした。
小柄な蜘蛛の割には、幼体は意外にも大きいです。ブラキとかアフォのが小さいくらいです。

調べてみますと、多くのタラが産卵から孵化までに2ヶ月の期間を要するのに対して、本種は約30日で出嚢してくるようです。
早いっすね……


飯食べるようになった幼体(10月頭)

流石にデュビアの初齢は大きすぎましたが、ピンヘッドなどがあれば餌には困らないであろうサイズです。
普通の飼育に一癖ある蜘蛛ですが、チビだからと言って余計に大変になったりはしないと思います。

ただ、タランチュラの癖に死に餌(虫の切り身など)への反応は悪いです。触れば餌と分かるみたいなので蜘蛛の定位置に上手く置いてあげれば食べました。
うちで育ててる子は全員これで育ててます。
途中ショウジョウバエが沸いてそれ食ってたであろう個体もおりますが……

とまぁそんな調子で育てたのち、先月の虫イベントで放出して現在に至ります。
知名度は地の底という感じでしたが、親の画像で惹かれた方も多くなんと夕方前に完売という形になりました。

注意書きしかしていない売る気のないポップ掲げといたし、売る前に必ず蜘蛛の飼育履歴や扱いの有無など確認してますので、いい飼い主さんとこ行ってくれたんじゃないかと思っております。(見に来てくれた方色々聞いてゴメンなさいね)


CB出して貢献する、という初期からの目標がようやく叶った瞬間でした。

生き物を飼うならやはりここまで行きたいなと改めて思いましたし、いい経験になったと思います。

今年はより多く成果を挙げられるよういっそう努力していきたいと思います。(割と買い手つかんやろって奴が揃い始めるのでどうしようか迷うやつもいますがw)
これからも何卒よろしくお願いします。


というわけでTapinauchenius violaceus繁殖レポでした。
前回の♂とは全く別血統の♂がうちに居てるんですけど、今年もやれってことですかね……(